MINI クラブマン
“紳士”は細部にこだわる

 MINIは相変わらず好調らしい。昨年の販売台数は約2万6000台。日本はMINIにとって世界で6番目のマーケットだがクラブマンとしては3番目だという。そのクラブマンがマイナーチェンジを受けた。マイチェン文法にのっとり、変わったのは内・外装、そしてパワートレーンである。
 フロントビューで新しくなったのは面積の増えたクローム部分と、これまで一部が切れていたポジションライトが全周になり、ウインカーを点灯させるとサークル部分がウインカーとして機能すること。ヘッドライトそのものは基本的にはLEDだが、一部のモデルはハロゲンだ。
 リアランプのデザインも変わった。日本人がとりわけ好きなユニオンジャック(英国旗)のデザインを取り入れたのだ。ただ、ユニオンジャックの旗は左右対称ではないそうで、それをテールライトとして成立させるためにデザイナーは苦労したと言う。ただし、このユニオンジャックデザインが採用されるのは一部グレードだけでONEやクーパーには採用されていない。
 今回発売されたのはクラブマンのONE(消費税込み330万円)、バッキンガム(350万円)クーパー(391万円)、クーパーS(432万円)、クーパーS ALL4(455万円)。このほかに超スポーティモデルのジョン クーパー ワークス(568万円)も発表された。ちなみに来年にはDとSDが発表されるらしい。

おきて破り(?)超高性能、JCW

 エンジンは1.5リッター3気筒が2タイプ(75kW=102psと100kW=136ps)、さらに2リッター4気筒(141kW=192ps)と並ぶ。これら以外に注目したいのはJCW(ジョン・クーパー・ワークス)用の2リッター4気筒エンジンで最高出力は従来比プラス55kW(75ps)の225kW(306ps)を発揮する。最大トルクも一挙に100Nmも増えて450Nmを得る。
 この結果、0→100km/h加速は4.9秒でこなす。まさにスポティカーというよりスポーツーカーである。ただ、JCW、以前のモデルもかなりのジャジャ馬だったから、このハイパフォーマンスを乗りこなすためにはウデと慎重さが必要だろう。よく言われるゴーカートフィーリングはこのJCWでなくとも十分味わえる。
 日本流に言えばあくまでもマイナーチェンジだから、クラブマンの特徴である観音開きのリアドアや広いラゲッジスペースは踏襲する。その一方でインテリアの高級感は増しているし、安全運転支援やコネクティッドなど進化度は大きい。グレードによって差はもちろんあるが、JCW以外はファミリーカーとしても使える。この懐の深さもMINIクラブマンの魅力である。

報告:神谷龍彦
写真:佐久間健

グリルとライトの周りが変わった。途中で切れていたサークルが完全に繋がりウインカーも兼ねる。

これがJCW。先代よりも直径を10mm太くした95mmのツインエキゾースト・パイプがいいノートを出す。

デザイナーが苦労したという、ユニオンジャック(英国旗)をイメージしたテールランプのデザイン。

デザイン的には大きな変更はないが、質感が微妙に増した。内部もよりラグジュアリスになった。

エンジンは1.5リッターと2リッター。JCWのエンジンは最高出力が一挙に55kW増えて225kWに。

サーキット走行も可能だというJCWのシート。いかにもホールド性が高そうだ。


最終更新日:2019/10/07