ボルボ V90 T8
VOLVO V 90 T8

2019年EV化への尖兵

V90シリーズの最上級モデル。過去の試乗会では乗れなかった。マスコミに試乗させる最初だという。

自動運転の開始はとっても簡単。ステアリングホイールの左にあるボタンを押せばいい。

とかく複雑だったスイッチ操作。今回は相当シンプルになった。こういうのもメーカーの良心だ。


パワーソースは、2ℓのエンジン(235kW)とモーター(65kW)のプラグインハイブリッド。

トランクのボード上げると充電用のソケット&コードが収まっていた。

それにしてもわずかの期間に全体のクオリティアップを実現したのは立派。試乗車エアサス仕様だった。


※画像クリックで拡大表示します。

 EV化といっても最初から全車がリーフやテスラのような純粋電気自動車になるわけではない。それどころか当面はスターター-ジェネレーターがコースティング時に貯めた電気でエンジンをアシストしてやる、いわゆるマイルドハイブリッドが8割方を占めるだろうというささやかなスタートになりそうだ。
 それでもドイツの“御三家”をはじめとする有力どころを差し置いて真っ先に「脱化石燃料化」を宣言したインパクトは絶大だった。果たして北欧の小さなメーカーにそれができるのかという若干の猜疑心を孕みつつではあるにせよ。
用意万端、その日を待つシャシー
 総額1兆3000億円もの巨費を投じて今後シャシー、ボディ、パワーユニットのすべてを革新する新世代ボルボの第1弾が従来の70/80シリーズに代わって新たに同社のトップオブザレンジに就いた90シリーズで、昨2017モデルイヤーではその先陣を切って登場したSUVのXC90が早速我がRJCカーオブザイヤー・インポートに輝いてみせるとともに1000万円クラスの高価格帯に上級移行したにもかかわらず、ライバルのX5やQ7を凌ぐ売れ行きを見せているという。
 さらに今年は同じアーキテクチャーを持つボディバリエーションのS90セダン、V90ワゴン、V90クロスカントリーが一斉に放たれ、格段に陣容を厚くした。それらの試乗記そのものもすでに紹介済みだが、この日改めて我々向けに催された試乗会で最大の話題となったのが文字どおり本邦発公開となったそのプラグインハイブリッド版、“T8”だった。
 シリーズ他車と同じく2ℓ直4ガソリンターボをフロントに横置きしながら独自にスーパーチャージャーを追加過給して320PSの高出力を獲得、しただけでなく、フロアのトンネル部分に計96セルのリチウムイオンバッテリーを配列、リアアクスルに単体で87PSを発する電気モーターを設けてモード切り替え式のAWDとしたのだ。PHVだから外部からの充電で満たせばJC08モードで約45kmのバッテリー走行も可能。その意味ではすでにして掛け値なしの“EV”足り得ているのである。
“ボルボ度”100パーセント
 かつてボルボと言えばワゴン、ワゴンと言えばボルボという時代があった。昨今のSUVブームでさすがにその比率はやや低下気味だが、それでも直近の数字で日本市場に於ける新車の約45%がワゴンなのだという。
 試乗車はV90のT8とまさにお誂え向き。グレードは自動的に最上級の“インスクリプション”と組み合わされるとあって929万円もするハイエンドモデルだが、ラゲッジルーム床下にはPHV用のコードが奇麗に収まるなどボルボワゴン伝統の使い勝手の良さは健在だ。
 これもボルボ売り物の先進安全性は4つの「世界初」を含む計16項目を標準で備える充実振りだが、その一部を成すとともに実質レベル2の自動運転デバイスとも言えるアダプティブクルーズコントロールとレーンキーピングエイドはステアリングスポーク上のスイッチひとつで即エンゲージされるのがすこぶる便利で、かつその作動がモデルイヤーを経るごとに洗練度を増しているのはさすがだ。
 T8は重量配分が前50:後50に限りなく近いと言われ、おまけにこの日はフルロードの4人乗車だったこともあって4WD、PURE eco(EV=RWD)、“ハイブリッド”、“スポーティ”の4種が用意されるドライビングモードのどれを選んでもRWD感が濃厚だった。
 操舵力が重めで真っ直ぐ走るスタビリティ感に富むステアリングもそれを助長していた。全長4935×全幅1890×全高1475mm、車重2100kgにもなる大型車とあって乗り心地もどっしりと重厚である。
報告:道田宣和
写真:佐久間健

<道田 宣和> 最終更新:2017/09/07