シトロエン DS 3/DS 4/DS 5

フランス車の良さを見直すにはいい機会だ。

神谷 龍彦

伝統のダブルシェブロンが消えDSロゴがグリルに。すっきりしたけど、ちょっぴりさみしい気もする。

このオープンは使いやすく快適だ。1.2リッター直3ターボ・エンジン上々。タイトコーナーも何のその。

フツーのDS 4より車高が30㎜高いCROSSBACK。乗り心地と操安性のバランスに優れている。


トップモデルのDS 5。モダーンな要素を大胆に取り入れているが、やはり個性的なシルエットである。

DS 5のインテリア。ラグジュアリーカーらしい雰囲気にあふれる。デザイン的にも見るべきものは多い。

初代シトロエンDS。車高が調整できるなど新しいメカニズム満載。でも最大ポイントはスタイル?


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 ほんの少し前までは「シトロエンDS」と呼ばれていた。ところが、昨年の東京モーターショーで、DSはシトロエンと別れ、新会社DS AUTOMOBILESに属することが公表された(現地では前年)。ちょっとややこしい。そもそもプジョーとシトロエンは別会社だった。それが一緒になってPSAが生まれた。2008年のことだ。
 日本では、この4月にシトロエンの中での“別居”を正式に発表。社名をPSAプジョーシトロエンからPSAグループに変えた。DSシリーズからダブルシェブロンエンブレムが消え、代わりにオシャレな新DSロゴマークがつく。で、何が変わったのかというと、このエンブレム以外にほぼ変更はない。では、なぜ、こんなことをしたのだろう。DSの広報は言う。「DSはプレミアム、シトロエンはファミリー、プジョーはスポーティだ」と。
 必ずしも100%は賛同できないが、DS=プレミアム論自体は故なきことではない。1955年にデビューしたシトロエンDSは、ユニークなハイドロニューマチック・システムやとっても個性的なスタイリングを誇った。歴代大統領も乗った。このDSは間違いなくフランスを代表する高級車だったのである。
 今回のDS独立を機に、新しいDS──つまり、DS 3、DS 4、DS 5をひとまとめにした試乗会が開かれた。この3モデルの共通エンジンは1.6リッター直4ターボ(165ps)だ。しかし、DS 3には、カブリオChicという、1.2リッター直3ターボ(110ps)を搭載するモデルがある。このエンジンは昨年に続き今年もInternational Engine of the Year(1〜1.4リッター部門)に輝いた。実際、この1.2リッターは快適である。パワーも十分、ターボだからトルクは205Nmもある。音も静かだし振動も少ない。燃費も19.8km/hと上々だ。
 ホロは完全電動式で開閉にかかる時間は16秒。しかも、開き方は、トップだけのセミオープン、リアガラスも下げるフルオープンだけでなく、好みの位置でもホロを止められる。タイトコーナーが連続する箱根の裏道では小柄なボディが小気味よくターンする。6速ATとのマッチングもいい。また、スポーツChic(1.6リッター)には6速MTも用意されている。
 DS 4にはChicのほかに車高を30㎜高めたCROSSBACKというSUV風のモデルがある。CROSSBACKのほどよい背の高さは見た目に新鮮。そのわりにドライビングしやすい。
 DS 5は伝統的な意味でもっともDSらしいモデルである。乗り心地は以前よりもマイルドになり、ゴツゴツ感が減った。ただ、比較的長いボディのせいかタイトコーナーではアンダーステア(おお、懐かしい言葉!)がやや大きい。
 DSシリーズの3モデルに試乗してみて感じたのは、やはりドイツ車とは違うなということだ。もちろん日本車とも。ひと頃に比べればドイツ車はずいぶん乗り心地も良くなったし、あのカッチリ感は信頼に値する。でも、この国で日常的に乗るにはフランス車の方が快適かもしれない。いい意味でのユルさが多少あった方が好ましいのは人間と同じではないかなと、少々ダルなぼくは思った。

写真:佐久間健

<神谷 龍彦> 最終更新: