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マツダ CX-30(シーエックス サーティー)の乗降性のスムーズさは、乗用車と変わりない。街乗りユースには十分対応できる。コンパクトサイズのクロスオーバーSUVながら、大人4人がゆとりをもって乗車できるだけの後席の頭上高、足元スペースを確保している。パーソナルユースに振ったCX-3との住み分けになる部分だろう。
コックピットは「人馬一体」の思想のもと、計器類がドライバーを包み込むように配置されており、乗用車的なレイアウト。操作性も問題なく、乗用車からの乗り換えにも何ら違和感を覚えないだろう。
クロスオーバーSUVらしく車高が乗用車より高い分、視界が良い。着座面の高さに加えて、ヘッドアップディスプレイが大変見やすく、視線移動が最小限に抑えられ、運転に集中できるのも好印象。後方視界も良く、車両感覚がつかみやすい。SUVと乗用車の「いいところ取り」といえる。
残念なのは、ナビゲーション。17インチの「テスラS」ではないが、昨今肥大化が進むカーナビ画面のトレンドのなか、横長ワイドの8.8インチサイズを装着。見た目のデザイン的には収まりが良いのだが、第一印象ではやや小さいと感じた。今年9月から導入された「マツダコネクテッドサービス」により、インターネット経由で地図情報などは毎月更新されており、慣れれば機能的には問題ないだろう。
今回試乗したのは、2Lガソリンエンジン搭載車のSKYACTIV-G 2.0 および1.8Lディーゼルエンジンを搭載した SKYACTIV-D 1.8 。次世代エンジンが脚光を浴びるなか取り残された感のあるクリーンディーゼルエンジンだが、成熟の域に達したといえる。室内の静粛性や振動に関して、ガソリンエンジンに対するハンデはほとんど感じられない。高速道路への進入時のディーゼル特有の力強い加速感は健在である。
クリーンディーゼルの実力は認めたうえで、街乗りを前程にしたCX-30のキャラクターなら、2Lガソリンエンジンのほうがマッチしていると思う。現状の販売受注比率は、ガソリン車とディーゼル車の比率はほぼ半々という。もちろん、本命は来年発売予定のSKYACTIV-X2.0搭載車だが。
報告:宮内正人
写真:佐久間健