ホンダ インサイト(1)

ハイブリッドを超えるのがテーマだった

この伸びやかなフォルム、そして穏やかな操縦性と乗り味。セダンの魅力を再発見させられる。

堂々のフロントビュー。高品質なパーツ類を随所に配置することで、上質な雰囲気をうまく演出している。

試乗車のタイヤはブリヂストンのトランザER33。高いグリップ性能と静粛性を両立させている。



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 ホンダ・インサイトが発売されたのは1999年。NSXと同様の方式で製造された軽量アルミフレームの2シーターボディに独自のハイブリッドシステムを搭載し、当時の量産車燃費世界一を達成したクルマだったことを鮮明に覚えている。
 2009年には5ナンバーサイズのハッチバックモデルに生まれ変わり、トヨタ・プリウスとともにハイブリッドカーの普及に大きく貢献した。その後2014年に販売を終了していたが、このたびミドルサイズセダンとして復活を果たした。
 ベースとなった車両は現行のシビックセダンで、ハイブリッドシステムにおいてもステップワゴンハイブリッドなどに採用されている2モーター式のi-MMDだから、歴代モデルのような目新しさはないかもしれない。しかし、ハイブリッドカーなどのエコカーが当たり前になった現在だからこそ、すべての面で純粋にいいと感じられるクルマを提供する…これが3代目インサイトの新しい提案なのだという。

ミドルセダンらしい穏やかで自然な乗り味

 それは、まずエクステリアで実感できた。全体的なシルエットはシビックゆずりのオーセンティックなデザインだが、印象的なフロントグリルに代表される高品質なパーツ類を随所に配置することで、上質な雰囲気をうまく演出している。インテリアも上質感にあふれているが、なかでも助手席インパネに手貼りされたリアルステッチソフトパッドには特にこだわりが見て取れた。
 大柄で上質なシートに包まれながらアクセルペダルを踏んでいくと、ミドルセダンらしいスムーズかつリニアな加速が味わえたが、いかにもモーターで走っているというようなトルクフルでレスポンスのよい加速とは一線を画す印象だった。開発者によると、アクセルに対してG(加速度)の出し方を一定にし、多少の燃費を犠牲にしてまでもより上質でシームレスなフィーリングを実現したとのこと。つまり、あえてハイブリッドカーであることを意識させないセッティングになっているわけだ。
活発な走りを楽しみたいのならスポーツモードも用意されている。ハンドリングはシビックに比べて穏やかな味付けだが、リニアで安定感はすこぶる高い。高速道路はもちろんのこと、郊外のワインディングでも気持ちの良い走りを体感できるだろう。
 最近の人気モデルはクロスオーバーSUVやミニバンに集中しているが、インサイトのような出来の良いミドルサイズセダンに乗ると、クルマの本質はやっぱりセダンだな…と改めて思った次第だ。
報告:小堀和則
写真:武田隆 怒谷彰久

<小堀 和則> 最終更新:2019/10/20