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日産車と一目で分かるブランドデザインのVモーショングリル、白いボディにルーフとミラーがオレンジから受ける軽快な印象。新開発のノンターボBR06型エンジンに新S-HYBRID組み合わせた「ハイウェイスターX プロパイロットエディション」は、走り出すと印象通りの軽快な走りを見せてくれた。トルクがあって走り出しがスムーズだし、エンジンが唸ることもなく、室内も静かだ。エンジンだけでなく、軽自動車専用の新型CVT(無段変速機)、新開発のプラットフォームなどすべてを刷新した複合的な効果だろう。
CVTのDステップは高速合流時などに有効
初代デイズは日産と三菱の合弁会社NMKVのマネジメントにより、三菱が主体で開発したが、2代目は日産が企画、開発を主導している。
エンジンは、ルノー日産アライアンスが新興国向けに開発した800ccのBR08型を軽自動車規格の659ccにボアダウンしたBR06型。単にボアを小さくしたのではなく、バルブ挟み角などほぼ新設計したという。三菱の3B20型はボア×ストロークが65.4 mm×65.4 mmとスクエアだったが、BR06型では62.7 mm×71.2 mmのロングストロークとしてトルク重視のエンジンに切り替えことで従来型の最大トルク56Nm/5500rpmに対し、新型は60Nm/3600rpmに向上させた。これが走り始めからすべての回転域で力強い加速感が感じられるわけで、最大で15%トルクアップしている。さらに、新S-HYBRIDは従来の鉛酸電池からリチウムイオン電池にしたことで、モーターアシスト時間を従来より10倍以上にすることができた。効果は発進加速時の数秒間となる。
軽自動車専用の新型CVT(無段変速機)は、何が新しいか。小型化し、4.2kg軽量化したことや、伸びのある加速感を感じられるDステップを軽自動車で初採用したことだ。Dステップの加速感を味わうには、アクセルペダルを8分の5以上踏み込む。トルクが向上したので、街乗りでは意図アクセルを踏み込まないと感じられなかった。高速道路への合流したときは、シフトアップするような感覚を味わえた。
静粛性はキューブ並み プロパイロットも進化
室内が静かだったことも印象に残った。室内の静かさは同社のキューブ並みまで低減したという。静粛性が良くなったのは、エンジンとパワートレインの剛性を高めたからだ。クランク剛性、シリンダブロックオイルパン剛性、トランスミッションハウジング剛性を向上させ、エンジンとトランスミッションとのドッキングボルトの本数も増やすことでエンジン音自体を低減させた。ほかにもAピラーの中に発泡剤を入れるなど遮音材、吸音材を多用している。
自動運転技術の「プロパイロット」も試してみた。セレナから始まり、日産リーフ、エクストレイルと常に技術を進化させている。初めてセレナでプロパイロットを体験したときは、常に走行レーンの中央を維持していた。カーブでも中央を維持することに違和感を覚えた記憶がある。デイズは、カーブで曲がる方向のやや内側に寄るようになり、日進月歩で技術は進化している。
ターボモデルの「ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション」に乗り換えると、スムーズな加速というより力強い加速感が味わえた。街中ならノンターボのほうが乗りやすいが、高速道路ならターボモデルの最大トルク100Nm/2400〜4000rpmは魅力で、ゆとり運転ができる。
試乗できたのはいずれも2WDで、1人で運転した。三菱のeKクロスは4WDも試乗したが、軽自動車クラスは車体重量や乗車人数の違いで走行フィーリングに影響が出やすい。4WDだと重量が大人1人分の60kg増加する。eKクロスでは2WD、4WDで2人、4人と条件を変えて試乗し、条件の違いで大きく印象が変わった。積雪地、街乗り、遠出など生活のスタイルでタイプを選ぶことが必要だ。
報告:怒谷彰久
写真:佐久間健