ビーエムダブリュー 330i M Sport
BMW 330i M Sport

マジメに細部まで変えました

横長になっただけでなく立体感も増した新しい顔。エアダクトの形状もアグレッシブだ。

リアスタイルもより立体的になった。Cピラーは相変わらず細め。全体としてはクーペっぽ い。

インパネから突起物が減った。メーターはデジタルも丸目も選べるタイプ。ハンドルは太い。


試乗車はすべて330i、つまり高出力版だった。日本専用開発の320iにも乗りたかったけど。

ホイールベースと全長の延長によってリアシートの前席との間隔は広くなった。歓迎。

ダイヤルで呼び出してセンターのタッチパネルに触れるとリバース・アシストが起動する。障害物がある場合は警告灯と音で距離を知らせる。ブレーキペダルを踏みながらゆっくり後退。


※画像クリックで拡大表示します。

 ガラッと変わったような、そうでもないような。
 BMW伝統のキドニーグリルは、これまで2つに分かれていたがひとつのフレームで縁取られ、水平方向の広がりを強調している。同時に低重心もアピールする。またグリルのフィンは必要な時しか開かないアクティブ・エアストリーム式(7シリーズと同じ)。ボンネットも最先端から開くようになった。言うまでもなくじっくり見ればすべて新しい。
 サイズは全長4715弌∩管1825弌D垢気魯廛薀70弌幅はプラス25弌ホイールベースも40仗びて2850个法従来モデルに比べると明らかにひと回り大きい。長くなったのはいい。泣き所だった後席の居住性の向上に繋がっているから。でも、このクラスで幅が1800个鯆兇┐討靴泙辰燭里脇本での使い勝手を考えると残念だ。乗員の体格が大きくなっているという見方もあるらしいが、本当にそうか? 
 さらにトレッドも大きく広がった。前43弌後21弌かなりのワイド化だ。運動性能を考えればこの拡大は納得できる。

日本側の要望も取り入れた。とくに320i 
 「BMWは単なるインポーターではありません。」
 プレゼンテーションで御舘(みたち)康成プロダクト・マネージャーはこう断言した。つまり開発の段階からかかわっていたということらしい。その代表例が320i(2ℓ直4 135kW=184ps)だ。日本でテスト(数万キロ)を繰り返したのは言うまでもなく、それに合わせてエンジンチューンも日本向けに変えた。日本の道路事情や使い方などを考慮してだ。
 M Sport も強化した。日本市場での要望が多いからだという。メーターは基本的には3種類ある。2眼とデジタルとその混合だ。日本はすべて2眼メーターとデジタルの二つを使える混合タイプを標準装備にした。これも日本マーケットの“特殊性”を考えてのことだという。
 セーフティ・サポートの標準化も同様だ。軽自動車にも当たり前のように自動停止アシストが付く国だから。そもそも320iの存在自体が特別扱いなのだ。最終的には他の多くの国にも輸出されるらしいが、現時点では日本だけである。これまでもよく売れたから。グローバル販売台数1500万台のうち50万台(33%)の日本は、BMWの中ではけっこうエライらしい。
 ところが今回の試乗に用意されていたのは同じ排気量だがチューンアップ版(マニフォールド一体化のタービンなど)のエンジン(190kW=258ps)を積む330i M Sportだった。まっ、いいか。

来た道を50ⅿ自動で戻る。「8」譲りの新機軸
 乗り込んでまずステアリングを握る。太い! ぼくには太すぎるがこれも日本仕様の表れなのか。センタコンソールのシフトレバー横に移ったスタートボタンを押す。新しくなったメーターの右に位置するタコメーターの針が時計とは左回りに振れる。確かこのパターンってホンダ車にも昔あったなあ。
 西湘バイパスに乗り出す。まず感じたのは足の固さだ。目地を乗り越えたときの上下動が強い。不快なほどではないけど、M Sportの車高がノーマルよりも10伉磴い擦い發△襪里な。ところが。箱根ターンパイクに入った途端、印象は一変した。固さは影を消し、快適さが顔を出す。
 ヨーロッパの高級スポーツセダンに多い味付けだ。もちろんステアリングの正確さ、コーナリング性能の高さに問題はない。問題はないどころか極めてレベルが高い。日本車にも同じような味の「アシ」が増えてきたが、ここまでシャキッとしたクルマは少ない。やや固めの足と引き換えにニュー3シリーズが得たものは多い。
 途中のパーキングエリアで、8シリーズにも採用された「リバース・アシスト」を試した。これは、35km/hで走行中、狭い道でのすれ違いや駐車場が行き止まりにあたったような場合に自動で50m戻るシステムだ。
 ダイヤルを回して、センターディスプレイの後退アシストにタッチすると、ステアリングがギョッとするほど速く回転した。戻るときは実際にどうするのか。これはあくまでも自動的にコースを戻る仕組みであって、人など障害物があった場合に止まる機能は持ち合わせていない。だからブレーキで速度を微調整しながら下がる。優れたディバイスだが万能ではない。あとで御舘氏に聞くと、ステアリングホイールの戻りが速いのは舵角の問題で普通はそんなにはならないと言う。
 330iの0-100km/h加速は5.8秒。決して悪いデータではない。しかし、ドライブした印象ではそこまで速いとは思わなかった。スムーズさは超一流なのだけど……。

是非Sportモードでも試してください
 「それってスポーツモードで試した印象ですか」
 RJC会員の怒谷くんが訊いた。そうか、撮影にかまけてそちらは試さなかった。コンフォートに入れたままだった。ドライビング・パフォーマンス・コントロールの切り換えスイッチはシフトレバーの右側にあって上からスポーツ、コンフォート、ECO PRO、アダプティブと並ぶ。
 「じゃあ、どんな感じだった?」
 「背中がシートバックに押し付けられるような加速ですよ。変速タイミングもアップしました。シフトダウンの時のバン、バンって音もいいですよ」
 ということだ。う〜ん、100km/h加速5.8秒はダテじゃないな。
 また、周辺監視、中距離、長距離を常に監視する3眼カメラ・システムの新採用で安全機能は一段と進歩した。それだけ細かい検知ができる。ただ、レーンキープのためにクルマを戻す働きは少し強すぎる。しかし、高速道路でウツラウツラしたようなときに目を覚まさせるには有効だろう。さらにコネクテッド・ドライブも標準装備とした。
 安全サポートなども含めて価格据え置きというのも輸入車としては高く評価できる。1975年の誕生以来今回が7代目。良い小型車に成長した。

報告:神谷龍彦
写真:佐久間健

<神谷 龍彦> 最終更新:2019/03/13