日産 リーフe+
NISSAN LEAF e+

458kmの航続距離なら99.5%のユーザーに対応する

航続距離もさることながら加速性能も凄い。

リアから見てもリーフ+かどうかは不明。

前席後席ともにゆったりして快適だ。



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 まず冒頭に日産が「インテリジェントモビリティー」をクルマづくりの哲学とし、自動運転、コネクテッド、EVに注力、強い情熱を持ってこれらの技術に挑戦を続けていることに敬意を表したい。その結果としてEVの領域では今や世界的にもリーダーシップの地位を確保しているからだ。

 初代リーフは2010年、2017年に2代目のリーフが導入されたが、2010年には200kmだった航続距離は、2012年に228km、2015年に280km、2017年には322kmと向上、すでに118千台のリーフが国内で販売され、北米、欧州でもほぼ同数のリーフが販売されてきたとのこと。今回導入されたリーフe+は何と458kmと飛躍的な進化を遂げている。日産によると458kmという航続距離は99.5%のユーザーの一日当たりの走行距離をカバーできるという。

 この航続距離の向上が実現できたのは、ハーネスの基盤化とレーザー溶接によるモジュールのコンパクト化という日産独自のバッテリー技術により、搭載セル数を192セルから1.5倍の288セルにすることが可能となったことと、全高を5mmアップ、最低地上高を15mm下げることにより室内居住性を一切犠牲にせずにバッテリーの搭載スペースを拡大したことによるものだ。

圧倒的な加速性能にワンペダルのイージーさ
 試乗してまず驚いたのはスムーズかつ圧倒的な加速性能だ。最大出力が45%アップして160kWとなったこと、これまで50km/hまでだった最大加速Gが70km/hまでとなったことにより、160kgの重量増加はあるものの踏み込めばスポーツカー顔負け加速性能だ。またノート、セレナe-POWERで大変気に入ったワンペダル走行が可能で、市街地、高速道路での通常の走行は右足のみで全く問題なく非常に気持ち良く走れるのもうれしい。

 重心が10mm下がったこと、アップされた車体剛性、更には重量物が中央にあることによるヨー慣性モーメントの低さも影響しているのだろう、舵角を与えた時のロールが少なく、ステアリングの操作にリニアに反応してくれるのも気持ち良い。乗り心地も前席、後席ともなかなか良好だ。また新型バッテリーは大電流に対応、高出力急速充電が利用できるのもメリットだ。

 このようにリーフe+は多くのユーザーにとって大変魅力的なクルマに変身している。加えてつい最近の国内販売で1位と2位の地位を獲得したノート、セレナは、e-POWERの後押しがあったことは明らかで、日産の「インテリジェントモビリティー」は一段と進化してゆくものと確信する。

 ただしEV化の進捗には電力問題があることも自明で、化石燃料による発電に依存したのではむしろ二酸化炭素の排出量が増えてしまうわけだし、一説によると中国では50基もの原発建設の計画すら話し合われているようだが、EV化に大きく舵を切っている中国の今後の対応がどのようになってゆくかも大きな課題となるはずだ。一方でイギリスやフランスが将来的にガソリン車の販売を禁止するとされており、ハイブリッドに対する環境規制も大きなテーマとなってくることは間違いない。燃料電池車が今後どのように発展してゆくかも見えないところが多い。言い換えると将来のクルマの在り方が根本から変革してゆく大きな転換期に遭遇していると言えるだけに、日産の勇気ある挑戦に拍手を送りたい。
報告:小早川隆治
写真:佐久間健

最終更新:2019/03/01