※画像クリックで拡大表示します。
昼の時間帯に休憩室でおにぎりを食べていたら、思いもかけずテスラに乗れることになった。残り時間は30分、レクチャーもそこそこに、近くの田舎道のルートへ向かった。
開口部が大きいガルウィングドア(リア)と、広大なフロントガラスを持つわりに、荒れた道を走ってもボディはしっかりしている。
加速がケタ外れなのは、街中で以前にモデルSで体験ずみだったが、荒れた狭い道では、一瞬でも床までペダルを踏む気にはならない。ちなみに試乗車はP100Dというハイパフォーマンス仕様で、0-100km/h加速は3.1秒とほぼF1並。でもスペースXの宇宙船ほどのGではないだろう‥。
登り坂の右左を行くのに、低速からあり余るトルクがあるのは運転しやすい。アクセルを踏んだぶんだけいつでも瞬時に、無音の静けさのまま加速する。減速も回生が強いモードになっていたので、ほぼワンペダルで走れるのがまた楽だった。
大トルクで加速してもステアリングに反力が来ないことから、リアモーターのRWDだったことを思い出した。ただ、あとで聞いたら今のテスラはすべて4WDだとのこと。
シートは厚みがなくクッションも浅めだが、体にフィットして好印象。たぶん軽量化とスペース効率のためこういうシート形状なのだと思うが、もしや宇宙船技術の応用だったりして……。全長約5mで3列シートなのは珍しくはないが、前にエンジンがないからスペース効率はよいはず。フロアも単3電池みたいな18650(イチハチロクゴーマル)電池を筏のように敷き詰めたシャシーだから、フラットそのもの。それを活かすなら、セダンよりこういうSUVにするほうが賢いと思う。もっともSUVといっても、およそオフロードは似合いそうもないが。
ガルウイングは、この手のスーパーカー(と言い切ってしまうが)お約束のものではあるけれど、狭い場所でのことを考えて、羽の途中が折れ曲がるのがミソ。もちろん電動式で、これはふつうに開く前席ドアも同じ。自動運転を目指すくらいのクルマなら、ドアの自動開閉くらい基本のキなのだろう。
1780万円も、宇宙旅行に比べれば安いというもの。宇宙船を開発する世界観からすれば、このクルマのすばらしい前衛ぶりも、ふつうのことになるのだろう。
報告:武田 隆
写真:佐久間健