【JAIA 2018】 DS3 スポーツシック 6MT
DS3 Sport Chic 6MT

しっとりとしたハンドリングのスポーティカー

Chic系には3気筒1.2Lエンジンが搭載されているが、このSport Chicは4気筒1.6L。

シトロエンのC3をベースに作られたDS3は、現在はDSの独立ブランド。

コンパクトなボディを生かして昨年までWRCで活躍していた実績もあるDS3。


せっかくのスポーツペダル装備だが、ペダルが湾曲しているのが解せない。

中央にスピードメーター、左にタコメーター。レッドゾーンは6200rpmから。

コクピット回り。ストロークは大きめだが、節度がしっかりあってシフトフィーリングは良い。


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 DS3に付けられている「Chic」(シック)とはフランス語で「粋(いき)」とか「しゃれた様」をいう、ファッションでよく使われる言葉だ。試乗した「Sport Chic」はトランスミッションに6MTを装備したDS3のスポーツバージョンのクルマである。だが、WRC(世界ラリー選手権)で活躍したマシンとは違い、名前が表すようにバリバリのスポーツマシンではない。同じエンジンを積む以前のBMWミニクーパーSと比べてかなりマイルドなスポーティカーといえるものだ。
 日本に現在導入されているDS3には、直列3気筒1.2Lターボと、直列4気筒1.6Lターボの2種類のエンジンがあるが「Sport Chic」は後者の1.6Lエンジンを搭載している。この1.6LエンジンはBMWとの共同開発したもので、いわゆるダウンサイジングエンジンである。「筒内直接噴射+ターボ過給」により小さいエンジンを大きく使い冷却損失やフリクション損失を減らしている。BMWが確立した連続可変バルブリフト機構の「バルブトロニック」も装備しているので、ポンピングロスも少ない。
 ターボチャージャーはスクロール(カタツムリ状の部分)内を2つに分けたツインスクロール式。これは低回転時には片方のスクロールだけを使って流速を速め、高速では2つのスクロールを使って大流量に対応することで、低速から高速まで素早い応答性を追求した形式だ。大排気量のエンジンではツインターボとかになるのだろうが、このサイズのエンジンには有効なメカニズムだ。
動力性能は文句なし。足回りは程よくソフト
 クルマは走る、曲がる、止まる、の機能がどうかを問われるわけだが、まず動力性能に関しては申し分ない。適切なギヤを選べば上記説明したようにレスポンスよく加速してくれる。最初のクラッチミートもシビアなこともなく難なくスタートできる。6MTのシフトフィーリングは擬音で表すと「カチカチ」ではなく「スコスコ」という感じで、マイルドである。節度がしっかりあるのでよいのだが、ストロークは大きめだ。ブレーキはソフトでよく効くが、スポーティではない。
 ストロークも大きめで軽いタッチで効いてしまうので、ヒールアンドトーはやりづらい。疑問に思ったのはペダルの形状だ。滑らないようにペダルに穴を開けてゴムだか樹脂をはめているのだが、ブレーキとクラッチのペダルは湾曲しているので靴底を面でなく線で受け止める格好になる。実際ヒールアンドトーをやろうとしてペダルから足が横に滑ってすっぽ抜けた。凝っているのに裏目に出ている。
 パーキングブレーキは左手で引きやすい位置にある。ストロークが短くていいのだが、引き始めからある程度重さがあるのが残念。ハンドリングはミニクーパーのようなダイレクト感が強くきびきびしたものでなく、サスペンションもそれほど硬くなく、しかしというか、だからこそタイヤはしっかり路面をつかんでいるように感じさせ、コントロールもしやすい。フランス車らしいとでもいうのか、しっとりとした操縦性だ。
 インテリアでいつも私が気にするのはナビ画面の位置だが、このクルマもやはり低い。低すぎとまでは言わないが、エアコンの吹き出し口の下にナビがある。まずナビ画面をできるだけ高い位置に設置し、それからエアコンの吹き出し口を考えるべき。快適性より安全性を優先すべきということだ。

最終更新:2018/02/14