ひと頃のような派手さは減った──クルマも人も。しかし前回は未来だったものが現実として展示されている──EVも自動運転も燃料電池車も。わりと堅実路線の国産車に比べて輸入車には走りをアピールするモデルも多い。今回は部品館もご紹介。ある意味でここは興味深い。表に名前が出ることは少ないけど、サプライヤーとして自動車メーカーを支えているのだから。どこに行くかわからない時代の曲がり角。世界の、日本の、自分の未来をしっかり探そう。東京ビッグサイトで。
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輸入車編
■アウディ Audi
エレーヌ・コンセプト●Elaine concept
グッドバイ! シングルフレーム。SUVクーペEV
前に一つ後ろに二つ計三つのモーターを持つ4WD(クワトロ)SUVクーペである。シングルフレームのグリルを持つが、EVだからラジエーターとしては機能しない。2019年にはヨーロッパで市販する予定だという。一度の充電で走れる距離は500km以上。しかも130km/h以下なら、ハイウエイパイロットというレベル3の自動運転システムによって車線変更して元の車線に戻ることもできる。全長×全幅は4900×1980mm。わりと大きい。しかし0-100km/h加速は4.5秒と収束だ。
キュー・エイト・スポーツ・コンセプト●Q8 sport concept
全幅2000mm超のハイブリッド。1200km走行が可能
今年1月のデトロイトショーでデビューしたQ8 conceptのスポーツ版。サイズは5020×2050mm。かなり大きい。エンジンは3LV6ツインターボで350kW/700Nmを発生。これに新開発の48Vのマイルドハイブリッドを組み合わせる。リチウムイオンバッテリーとスターターで構成され回生機能も持つ。0-100km/h加速は4.7秒。この大柄なボディが疾駆する姿は想像するだけでも迫力がある。しかも燃料満タンからの最大走行距離は何と1200kmだという。
エイ・エイト●A8
世界初の自動運転レベル3。年内にお目にかかれる、はず
世界初のレベル3の自動運転気を備えたA8が年内に日本にもやってくる。レベル3とはある条件下で運転をクルマ任せにできること。A8の場合は、AIトラフィックジャムパイロットと名付けられたシステム。中央分離帯のある混雑した高速道路や自動車専用道路を60km/h以下で走行していることが条件で、発進、加速、操舵、減速の各操作に自動対応する。ドライバーはステアリングホイールから手を放し、法律で許されていればTVや動画の視聴など車載のインフォテイメントシステムなどが提供するサブタスクを実行することができる。A8のロングバージョン「A8 L」やA4アバントのスポーティモデル「RS4」も来春に入ってくる。
■フォルクスワーゲン Volkswagen
アイ・ディー・バズ●I.D.BUZZ
600km+EV+4WD+自動運転。次代のピープルズカー
時代のアイコン「タイプ2(マイクロバス)」を継承したI.D.BUZZは、600kmの航続距離を実現する電気自動車、そして、「I.D.Pilot」モードによる自動運転も備えた完璧な次代の車である。駆動方式は、前後に配したフルEVのドライブ方式で4輪を駆動、ほとんどすべてのヒューマンウェアは先端の電子武装を装い、2020年からの、e-Mobillty 時代の一翼を担う。次代の「ピープルズカー」、評価は如何に? このほかにVWは多くの市販予定モデルを出展した。18年に導入予定のモデルとしては。「パサート ヴァリアントTDI」、「ポロTSI ハイライン」「up!GTI」がある。PHEV「ゴルフ GTE」、完全な電気自動車「e-ゴルフ」VWの新たなフラッグシップ「アルテオンRライン アドバンス」らは発表はされたものの一般には接する機会はまだ少ない。実車に触れる機会としてはいいかもしれない。
■メルセデス・ベンツ Mercedes-Benz
エイエムジー・プロジェクト・ワン●AMG Project ONE
推定価格3億円以上!それでも購入希望者が列をなす
公道を走るF1。今までまったくなかったわけではない。しかし、メルセデス・ベンツがやると説得力が高い。サーキットのテクノロジーを公道へというのはある意味で開発者の夢かもしれない。エンジンは1.6LV6ターボ。1万1000回転まで回るこのエンジンをミッドに積む。これに4基のモーターが組み合わされシステム最高出力は1000馬力を超える。推定価格は3億円を優に超す。すでに300人近く購入希望者がいるというのも驚きだ。
コンセプト・イーキューエイ●Concept EQA
新ブランド「EQ」シリーズ第二弾がこのモデル
メルセデスのEQとしては第2弾である。最初は昨年のパリサロンで発表したSUVの「EQC」。第2弾は今年のフランクフルトショーで展示したこの「EQA」だ。フルタイム4WDで2モーター。最高出力は200kW(272馬力)だが最大トルクは500Nmもあり、0-100km/h加速は5秒程度だという。3サイズは4285×1810×1430mm。スポーツモードとスポーツプラスモードがありモードによってフロントグリルの表示が変わるというギミックも。
スマート・ビジョン・イーキュウ・フォーツウ●smart vision EQ fortwo
カーシェアリングシステムを変えようとする大胆な挑戦
最大限のフレキシビリティと自動運転を実現すべく開発されたスマートの新・都市交通システム。ユーザーが希望する場所までクルマが来てくれて、すべての操作がスマートフォンでできる、などの利点により路上を走るのは接続されたクルマだけになる。その結果、都市部を走るクルマや必要とされる駐車スペースも減る。カーシェアリングの新しいカタチを提案する。携帯電話の登場が待ち合わせの方法を変えたようにハードがソフトを変えることはあり得る。
OTHERS
来年もメルセデスの新車攻勢は続きそうだ!
メルセデス・ベンツは輸入車として最も広いはブースを占めコンセプトカーのほかにも多くの市販予定車を展示した。プラグインHVの燃料電池車「GLC F-CELL」、マイナーチェンジを受けた「AMG GTクーペ」、SUVっぽい「スマート・フォーフォー・ターボ・クロスタウンリミテッド」と「スマート・ブラバス・フォーフォー・キャンバストップ・リミテッド」、などだ。これらのモデルの日本市販は来春から来夏と思われる。
■ビー・エム・ダブリュー BMW
ビー・エム・ダブリュー・コンセプト・ゼットフォー●BMW CONCEPT Z4
現行モデルとはチト違う。数年待てばこんなZ4に会える
BMWのロードスターZ4の次期ケーススタディモデル。流麗かつダイナミックなフォルム、BMW 328 Mille Miglia(ミッレミリア)を思い起こさせるフロントのキドニーグリル、ライトを縦に2つ重ね合わせたデザインなどによって、BMWの駆け抜ける歓びをダイレクトに表現している。このコンセプトモデルをベースにした市販車は、数年後の発売を予定しているとのこと。
ビー・エム・ダブリュー・コンセプト 8 シリーズ●BMW CONCEPT 8 SERIES
もうひとつ上のクラスへの野望。隙のない高級感演出
BMWクーペのトップに位置づけられ、BMWクーペに与えられた運動性能、高級感、圧倒的な存在感を具現化したコンセプトカー。長いエンジンフード、流れるようなルーフライン、独特な曲線ラインをもつシルエットなど、伝統と最新をデザインしている。インテリアはアッパークラスを狙って、素材、デザインともに高級感と躍動感を演出。また、メリノレザー、スワロフスキー製iDriveコントローラーなども採用。このモデルをベースとした市販車のデビューも予告されている。
他のBMW車●OTHERS
「i3」&「i8」──EV攻勢着々。新しいMやゴージャスクーペも
EVに対する先見性も、垣間見ることが出来る。「 i3」は、一充電走行距離は390km に、走行中にエンジンが発電して、航続可能距離を121km延長する、647ccの発電用エンジンを備えたレンジ・エクステンダーを装備。「eDrive(イードライブ)」のスポーツ・カー「 i8」はプラグイン・ハイブリッド・テクノロジー進化させる。このほか、8月にワールドプレミアとなった6代目「M5」や、今年9月のフランクフルトショーでデビューした「6シリーズのグランドツーリスモ」も。このモデル。5mを超す全長なのにCd値が0.25というのは凄い。日本導入は早くて年内、もしくは来春。
■アルピナ ALPINA
ビーファイブ・バイターボ・ツーリング・オールラッド●B5 Bi-Turbo Touring Allrad
5L V10から4.4L V8にダウンサイジング。でも速い!
スポーツカー以上の運動性能と長距離走行時にも上質な乗り心地を提供するワゴン。高出力を走行シーンに合わせて最適配分するために初めて4WDが採用された。ベースモデルは新型BMW550i。5LV型10気筒から4.4LV8にダウンサイジング。ターボエンジンの最高出力は447kW(608馬力)。0-100km/h加速は3.7秒。最高巡航速度は322km/hと最新のM5をも凌ぐ。この性能で平均燃費9.3km/Lは驚き。このほかにセダンの「BMW ALPINA D5 S Bi-Turbo Allrad」が東京で初お目見えとなった。3.0L、6気筒 Biターボエンジンを搭載する。最高出力240kW(326馬力)。0-100km/h加速は4.9秒。最高速度は275km/h。どちらもかなりの俊足だ。
ポルシェ■PORSCHE
カイエン●Cayenne
エンジン、シャシーすべて一新。0-100km/h加速4.9秒モデルも
ドイツで9月に発表されたばかりの新型カイエンが、アジア初公開。2002年の誕生以来、気がつけばもう3代目。先代にひき続きさらに大幅軽量化された。ボディサイズはむしろ全長は伸びたが、デザインには911のモチーフを積極的にとりいれ、スポーツ性を強調。SUVでありながら、初めて前後タイヤサイズに差をつけ、ほかのポルシェ車同様に後輪操舵、電子制御式スタビライザー(PDCC)を採用するなど、走りの面でも"スポーツカー"としての実力を高めている。
パナメーラ・スポーツツーリスモ●Panamera Sport Turismo
550馬力のV8ツインターボエンジン。0-100km/h加速3.9秒
日本初公開のパナメーラ・スポーツツーリスモ。ひらたく言えばパナメーラのワゴン版だけれども、ポルシェはその言葉をあえて避けている。こだわりはそのテールゲートがかなり寝ていること。荷物スペースを確保しつつ、ブランドアイコンである911との繋がりを連想できるよう絶妙な造形に仕上げた。ルーフを延長した恩恵で、後席は通常のパナメーラと異なり3名の着座が可能。その外観デザインには日本人の山下周一氏が携わっている。
■プジョー PEUGEOT
プジョー・サンマルハチ●PEUGEOT 308
マイナーチェンジを受けた"新"308をアンベール
プジョーは好調である。その好調を支えているのが308。昨年だけで40%も販売台数が増えたという。で、プジョー・ブースは新しい308がメインとなる。ベースモデルはパワー順に言うとアルール(1.6Lターボディーゼル=120馬力)、次が1.2LGTライン(130馬力)、その上が2LのGT(ターボディーゼル180馬力)。さらに1.6Lガソリンターボ(270馬力)に6速MTを備えた「GTi by プジョースポール」がくる。5008を含めたSUVシリーズも人目を引いた。
■ディー・エス DS
ディー・エス セブン クロスバック●DS 7 CROSSBACK
高級ブランドのDS初めて送り込むミッドクラスSUV
DSは2014年にシトロエンの高級ブランドとして独立した。この結果、PSAはプジョー、シトロエン、DSの3ブランドになった。DS 7クロスバックはDSとして初めてミドルサイズSUVマーケットに送り込んだモデル。サイズは4570×1890×1620mm。ボルボXC60やBMW X1などがライバルとなる。パワーユニットはガソリン、ディーゼル、そしてハイブリッドもあるらしい。日本登場は来春だという。
■ルノー Renault
メガーヌ・ルノースポール●RENAULT MEGANE R.S.
かつてニュル最速のFF車だった。果たして再挑戦はあるか
R.S(ルノー・スポール)はルノーにとって誇り高きブランドだ。メガーヌR.S.はニュルブルクリンクでFF車最速を誇っていたが、シビックタイプRに破られた。そのシビックもゴルフの後塵を期した。日本ではすでにメガーヌGTなどが販売されているが、メガーヌR.S.はフランクフルトショーでデビューしたばかり。それが早くも東京にやってきた。エンジンは新開発の1.8Lターボで280馬力。4輪操舵機構を持つ。ニュルに再挑戦するだろうか。
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