最初からそうだったわけではないが、グローバルで見ればフォレスターは今やスバルの重要な量産モデルである。2017年の販売台数は28万台を数える。そのフォレスターがフルモデルチェンジを受けた。1997年の初代誕生から数えると5代目にあたる。
ボディは少し大きくなった。全長が約+30mm、全幅が+20mm、ホイールベースも30mm伸びた。全長の+30mmはおもに後席の居住性の改善に充てられた。前後シートの空間は33mmも伸びたのだ。
後席に関して言えば、単に居住性の改善だけでなく使い勝手にも配慮がなされている。その代表的なものがリアドア・ステップだ。あまり目立たないが、ドアを開けるとやや幅が広いフラットな形のステップが現れる。
コレ、何に便利かというと──子供が乗り降りするとき、さらにはルーフに荷物を積む時(ルーフレールは一部オプション)の足場になる。最小回転半径が5.4mというのもこのクラスのSUVのそれが5.5mくらいなのを考えると良心的だ。
プラットフォームは現行インプレッサから採用され始めたSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)。その剛性の高さと対音振性の優秀さは定評のあるところだ。
エンジンは2.0リッターと2.5リッターの二本立て。ともに新設計(パーツの90%を変更)の4気筒水平対向で直噴タイプだ。2.0リッターはモーターと組み合わされる。スバルではあえてハイブリッドとは言わないが、まぎれもなくハイブリッドである。
出力は、2.5は136㎾(184ps)、e-BOXERと呼ばれる2.0リッターは107㎾(145ps)のエンジンに10㎾のモーターが組み合わされる。2.5リッターは低速トルクが高いから悪路でもゆったり、モーターによる低速レスポンスがリニアな2.0は市街地でも扱いやすいというのがスバル側の説明。WLTCモード燃費は2.5が13.2km/ℓ、2.0が14.0km/ℓ。差が少ないと言えば少ない。
ミッションは7段リニアトロニック(CVT)。少なくとも現時点では従来モデルにあったMTもターボもない。駆動方式はすべて4WD(スバルではAWDと表記する)。これまであった悪路用のX-モードには、従来のノーマルのほかにSNOW・DIRTとDEEP SNOW・MUDのモードが加わった。これまで以上にエンジンやブレーキ、トランスミッションを細かくコントロールできる。
安全性面でもさらに進化した
装備面で新しいのはまずドライバーモニタリングシステム(オプション)だろう。他社にも似たようなシステムがあるがスバルのものは自社開発で、5人まで顔を識別し、シートやドアミラーの位置を自動的にセットする。赤外線カメラを使っているからサングラスをかけていてもほとんど影響はない。発表日(9月20日)までの購入希望者4119人のうち4割がドライバーモニタリングシステムとe-BOXTERを選んだという。
安全性でいうと、アイサイト・ツーリングアシストの全車標準装備化も歓迎できる。衝突防止システムの量産車への先鞭をつけたアイサイトの進化型で、先行車の追従・操舵機能を持つ(1車線)、最新の自動運転支援システムだ。標準装備化という点では歩行者保護エアバッグが対象になったのもありがたい。
フォレスターの開発テーマは「もっと、遠くへ。もっと、家族と。」後席も重視したこのニューモデルはけっこう忠実のそのポリシーを実現している。
消費税抜き価格は、2.0 Advance:287 万円、2.5 Premium:280万円、2.5 Touring:260万円、2.5 X:BREAK:270万円。ただ、実際に発売されるのは2.5が7月19日、2.0が9月14日。しばし待て!
ついでにいうと、フォレスターのTVCM曲はサザンオールスターズの「VICTORY」である。
報告:神谷龍彦
写真:佐久間健
エクステリアの印象はあまり変わっていないが、「仲間で楽しくいつでもどこまでも」的装備 は充実。
C型のテールランプはユニーク。ラゲッジルームの幅は1300mm。ゴルフバッグも横向きで入れられる。
インテリアのデザインはかなり変わった。ドライバーモニタリング用赤外線小型カメラは中央上部に。
エンジンは2ℓハイブリッド(写真)と2.5ℓの2タイプ。ともにスバルご自慢の4気筒水平対向だ。
前後シートの距離は33mm伸びた。写真では見えないがドアを開けるとステップが。小さなことだが便利。
左が次期社長の中村和美氏、右がプロジェクト・ゼネラル・マネージャーの布目智之氏。