ボルボ XC40
VOLVO XC 40

ボルボ初のプレミアム・コンパクトSUV

 ボルボはよく売れている。今年の1月から3月27日までの注文台数は同年比で130%だという(木村社長)。その業績のアップに28日に発表されたコンパクトSUV「XC40」が一役買うのは間違いない。XC40の登場によってXCシリーズは90、60、40とラインアップを完成させた。ボディサイズはモデルの数字の順に小さくなる。
 しかし、XC90やXC60はともかく、XC40は日本で乗るにはやや幅広なのではないか。全幅を比べてみる。XC90は1930(1960)mm、XC60は1900mm、XC40ですら1875mmもある。その点を来日したマクシミリアン・ミッソーニ・エクステリアデザイン担当副社長に聞いてみた。と……。
──SUVはどのメーカーでもだいたいこのサイズですよ。とくにアメリカではね。
Q でも日本やヨーロッパの路地では大きすぎるという気がしますが。景気のいい最近のアメリカなら分かりますが、中国はどうですか。
──中国でも大きすぎるという声はありませんね。
Q そうですか。一昔前と違っていまや中国はビッグマーケットですからねえ。
──サイズと言えば日本の軽自動車は面白いと思いますよ。あのサイズの中であれだけのユーティリティを実現しているのは素晴らしい。
 軽自動車と言えばこのXC40、使い勝手には相当配慮している。さすがに傘置きまではないが、ティッシュ置き、置くだけで充電できるスマートフォン・チャージ、運転席下の収納ボックスなどなど。中でも注目したいのはノートパソコンも納めることのできるドアポケットだ。通常はここに配置する低音用ウーハーをダッシュボード側に追い出してスペースを確保した。
 もっとエライと思ったのはリアのラゲッジスペースだ。6:4分割可倒式バックレスト採用はもちろんだし、鍵付きのフロア下収納スペースなども便利だ。さらに、ラゲッジフロアもいくつもの使い方が。フロアパネルを立ててリアシートとの間にレジ袋を置くことができる。荷物固定用のフックも多彩だ。ただラゲッジルーム幅があまりないからゴルフバッグを入れるのはキツイかもしれない。
 アウディなどにはもっとコンパクトなSUVもあるけど、ボルボのSUVが米国と中国で好評なら、まあ、いいか。コンパクトSUVですら全幅は1800mm前後が世界的新基準ということだろう。前出のミッソーニ副社長によれば、XC40はXC90やXC60の弟ではなく“いとこ“とのことだ。
欧州カー・オブ・ザ・イヤー獲得
 XC40は新開発の小型車向けプラットフォーム「CMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャ)」を採用している。これは車軸からダッシュボードの距離以外はフレキシブルに選ぶことができる(これはXC90やXC60のSPAプラットフォームでも同じ)。電気自動車への採用も考えられている。
 先進安全機能は全車標準だ。ボルボらしい。さらに駐車スペースからバックするときに接近するクルマがあると警告音を発し、場合によってブレーキも掛けるオートブレーキ機能付きCTA(クロス・トラフィック・アラート)を新たに装備した。
 搭載エンジンはガソリンの2リッター直噴ターボ。仕様が2種類あって、140kW(T4)と185kW(T5)で、既存モデルに積んでいたものと変わらない。駆動方式はT4にのみFFも設定されているが、基本的にはAWDだ。価格は389万円(XC40 T4)から559万円(XC40 T5 AWD R-Design 1st Edition)。大雑把に言ってXC60よりも200万円ほど安い。ただし、T5 AWD R-Design 1st Edition(300台限定)の予約販売分はすでに完売している。他のモデルの納車は6月以降になる予定だ。
 XC40は3月初めのジュネーブショーで2018年欧州カー・オブ・ザイヤーを受賞した。ボルボにとっては初めての栄冠である。さらにXC60は3月29日にニューヨークショーでがワールド・カー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。ボルボ、2018年もまずは幸先よし。
報告:神谷龍彦
写真:怒谷彰久

XC60と比べると全長は265mmも短いが、全幅は25mmだけ短い1875mm。コンパクトSUVでも全幅は1800mm程度がいまやスタンダードらしい。

最低地上高は他のXCシリーズと同様の210mm。デザインは洗練されているがオフロード性能は高い。都会派SUVとしてヤング・アット・ハートの人に。

リアのトレッドはフロントより25mm広い。大きめのルーフスポイラー、独特のデザインのテールランプ──リアでもしっかりボルボを主張する。

多機能だがデザイン的にはすっきりしている。ティッシュ置きやスマートフォン・チャージなども用意されている。ユーティリティ性能はかなりのもの。

鍵のかかるフロアアンダーボックス、数々のフック類、立てて空間を仕切れるフロアパネルなど使い勝手は良さそうだ。ただ、エクステリアに対して荷室の横幅は限られている。


最終更新日:2018/03/31