BMW X1

REPORT/神谷龍彦

前輪駆動でさらなる飛躍を目指すエース


  10月16日、日本でもBMW・X1のニューモデルが発表された。初代が登場したのは2010年だったから、ヨーロッパ車としては比較的早いフルモデルチェンジである。この間、全世界で73万台以上売れたのだから、大成功だろう。今やXシリーズはBMW販売台数の17%を占めると言う。しかも2位メーカーに大きな差をつけての快挙。まずはめでたし!

  X1にはディーゼルエンジン搭載モデルもあるが、今回日本で発表されたのは、3タイプのガソリンエンジン搭載車。まず、18i。1.8とはいうものの、搭載エンジンは1.5リッター3気筒ターボ(136馬力)、次に2リッター4気筒ターボが2種類。20ターボ(192馬力)と25ターボ(231馬力)である。呼称はそれぞれ20iと25iになるが、この2車排気量が違うわけではない。違うのはチューンとその結果としてのパワー&トルクだ。トランスミッションは18iが6速AT、20i&25iが8速ATになる。

 「X」というのはBMWのSUVにつくネーミングだが、同社では伝統的にSUVをSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)と呼ぶ。このあたりは好きにすればいいけど、BMWは妙にこだわり続ける。

 こだわりと言えば、もう一つ駆動方式がある。BMWはず〜っとFR(後輪駆動)を基本としてきた(4WDは別)。しかし、2シリーズのアクティブツアラーとグランドツアラーからFF(前輪駆動)方式を採用した。X1のシャシーもこれだ。その理由として考えられるのはユーティリティスペースの確保がある。事実、トランクスペースは先代よりも85リッター増の505リッターに、2列目シートを倒せば1550リッターにまで増える。ともかく、基本がFFになったこと、これが最大の特徴だ。ちなみに、駆動方式は18iがFF、20i以上が4WD。

 次の特徴はサイズだ。(発表会ではスタイルのほうを強くアピールしていたけど)全幅は20㎜、全高は35㎜大きくなったが、全長は逆に30㎜短くなった。ホイールベースは変わらない。これらサイズ変更に伴い、4:2:4分割可倒式のリアシートは6:4分割で前後に130㎜スライドするようになった。またドライビングポジションも36㎜ほど高くなったからボディの見切りは悪くない。SUVらしくていい。

 インテリアの印象はセダン系よりX系に近い。標準装備のナビのディスプレイは8.8インチ。ややドライバーに向かっている点も変わらない。

 0‐100km/h加速は20iが7.4秒、2.5iが6.5秒。JC08燃費は20iが14.6km/h、25iが14.3 km/h。ともにほぼ標準レベルだ。安全装備も今日的で充分納得できる。

 価格は、一番安いsDrive18iスタンダード(FF)で385万円、最も高いxDrive M Sport(4WD)で591万円。お値段は少し高めだが、今年最も注目すべきBMWのニューモデルのひとつであることは間違いない。

 

フロントビューも“SUV”らしさが増した。ヘッドランプは全車LEDが標準。

得意げにXシリーズの好調ぶりをアピールするBMW Japanのペーター社長。

シャシーは2シリーズアクティブツアラーと同じFF。BMWとしては新機軸。

フロントもそうだが、サイドやリアビューもプレミアム感が溢れるようになった。

インパネ(欧州仕様)はセダン系よりもX系を主張。すっきりしていて迷わせない。

リアシートは4:2:4の分割可倒式。前後に130㎜スライドするもありがたい。

 

(PHOTO:神谷龍彦&BMW Japan Corp. )


最終更新日:2015/10/19