今ではちょっと見かけないシルエットだ。目立つ。超ロングノーズのオープンカー。そのフォルムはあくまでもクラシックである。
光岡自動車のヒミコが、2008年の登場後初めてモデルチェンジを受けた。9年間の総販売台数271台。そのうち国内は158台。4割強が海外だ。マカオ、モナコ、マレーシア、イギリスなどに販売拠点を持ち、今後シンガポールや香港にも進出する予定だという。
ただ、職人による手作りだから、現在の生産台数は月に2〜3台。今年は光岡自動車の50周年にあたる。その記念イベントの中には生産体制の見直しも含まれることになるかもしれない。
ヒミコのベースはマツダ・ロードスター。ロードスターはヒミコより先に4代目に移行している。そのせいもあってヒミコも2代目に入った。エンジンは先代の2ℓからロードスター同様に1.5ℓ(96kW 150Nm)に。出力やトルクは先代より減ったが、重量も80kg減っている。
今回のチェンジの特徴はエクステリアである。これまでボディカラーなどの追加はあったが、ボディ自体に手を入れられたことはほとんどない。
まずフロントフェンダーがボンネットよりも高くなり、前方下部をブラックアウトにした。これまでどちらかというと女性的イメージもあったが、この変更によりマッシブな印象が増した。フェンダー上にはLEDのイルミレーションランプがライン状に配された。
リアもナンバープレート表示部分のデザインが変わり、トランク形状のボックスが周囲を囲む。これは各国のナンバー表示法規に対応するものだという。
こうした目に付くところだけでなく、空力特性にも実質的配慮がなされた。フロントアンダーカバーとフェンダーサイドパネル内部をつばさ断面形状とすることによって高速走行でのフェイスリフトを減らした。
サイズ的に言うと、ベースモデルのコンパクト化の影響もあってホイールベースを120mm減らす一方でフロントオーバーハングは140mm延ばした。幅は10mm増えたがこれは意識するレベルではない。それよりも前後重量配分が48:52と大きく改善された方が重要だ。
超ロングノーズ+国産車の安心感を楽しんでほしいと光岡自動車は言う。バリエーションはS、Sスペシャルパッケージ、Sレザーパッケージ。トランスミッションは6速MTと6速AT。消費税抜き価格は461万円から。このほかに3月31日までの限定販売車としてレッドトップ(554万円)がある。
報告:神谷龍彦
写真:佐久間健
フロントフェンダー回りが今回のモデルチェンジのポイント。左は光岡章夫社長。
ロングノーズ・ショートデッキの極み。トップはハードトップからソフトトップのみになった。
フェンダーの盛り上がりが大きくなり、その下部はブラックになった。LEDランプも新しい。
トランクは従来と変更なし。ゴルフバッグを入れるのは無理。開放的に楽しく行こう。
インテリアも基本的には同じ。ただ、デザインや素材の選び方に細かい工夫がみられる。
ロードスターと同じ1.5ℓ。「SKYACTIVE TECHNOLOGY」の文字がその出自を語る。