メルセデスAMG E63系& GT ロードスター系
Mercedes AMG E63s & GT Roadsters
もっとスポーツを! AMG、6モデル一挙発表

 AMGの創立は1967年。今年は50周年にあたる。AMGというのは、創立者のひとり、ハンス・ヴェルナー・AufrechtのAと、もうひとりの創設者エアハルト・Melcherの M、そしてアウレヒトの故郷GrossaspachのGを組み合わせたもの。一般的にはエイエムジー、もしくはアーエムゲー(ドイツ語)と読む。
 チューナー・AMGの栄光の歴史は、1971年のスパ・フランコルシャン24時間レースに始まる。メルセデス300SEL6.8を駆りクラス優勝(総合2位)を達成した。その後メルセデス・ベンツと提携し(1994年)、2004年からは完全子会社となった。
 日本での販売業績は好調で、車種は20以上、モデル数は50 近くになる。2016年には5600台以上も売れた。今年の1月には世田谷の環状8号線沿いに初のAMG専門店をオープンした。そこで行われたのが新しいAMGモデルの発表会だ。
 メルセデスAMGには6月に発表された「GT R」という最強モデルがある。公道も走れるレーシングカーだ。エンジンは4ℓV8ツインターボで585ps(430kW)と700Nmのスペックを持つ。今回発表されたのは同じエンジン排気量の「GTロードスター(476ps)」と「GT Cロードスター(557ps)」である。
 このV8はどれもターボチャージャーをVバンクの内側に配する「ホットインサイドV」レイアウトを採用し、コンパクト化を実現すると同時に低負荷時の気筒休止メカニズムを備える。最近発表されたばかりのSクラスと同じだ。
0-100km/h加速3.5秒。世界最速のワゴンE 63 S
 トランスミッションはデュアルクラッチ式7速AT。コンフォートとスポーツ、スポーツ+、そしてインディビデュアル、さらにGT Cロードスター(以下GT C)は RACEモードを持つ。しかもエンジンとトランスミッションのマウントの硬さを自動で調整し、通常走行時には快適性が増し、スポーツ走行時にはクイックなコーナリングを可能にする(GT Rには装着済み)。
 GT Cは、GT RでAMGとしては初めて採用されたリア・アクスルステアリング(4輪操舵)を備える。100km/hを境にそれ以下ではリアホイールを逆方向に(最大1.5度)、それを越える速度域では同位相に操舵する。逆位相ではコーナーでのアジリティが増す。さらに最小回転半径も減る。GTロードスター(以下GT)が5.6mであるのに対してGT Cのそれは5.3mに過ぎない。100km/h以上では直進安定性などが高まる。
 ロードスターに欠かせないホロは3層ファブリック構造。50km/h以下で開閉可能で、それにかかる時間はたったの11秒だ。速い! シートの後ろにZ型にたためるのがミソ。カラーはブラック、レッド、ベージュの3色である。
 エクステリアの特徴は垂直フィンで構成されるフロントグリル。これは1952年にカレラ・パナメリカーナ・メヒコと呼ばれる公道レースでベンツ300SLが優勝したことに由来するデザインだ。
 GT CはGT Rよりも高級感とコンフォートさを追求したモデル。0-100km/h加速はGTが4.0秒、GT Cが3.7秒。価格はGT が1834万円、GT Cが2298万円。参考までに触れればGT Rが2300万円だ。ただし、これらのモデルはすべて受注生産だ。
 同時に、AMG E 63 4MATIC+、AMG E 63 S 4MATIC+ Edition1の二つのセダンと、AMG E 63 4MATIC+と AMG E 63 S 4MATIC+の二つのステーションワゴンを追加した。エンジンはすべて4ℓV8ツインターボだが出力は571psとSの612psがある。Sの100km/h加速は3.5秒。ステーションワゴンとしては世界最速のモデルとなる。セダンのAMG E 63 S 4MATIC+ Edition1は12月22日までの期間限定の受注生産モデルだ。
 Aピラーから先は専用設計でAMGのステーションワゴンとしては初めてボンネットをフェンダーとバンパー内側にはめ込む、クーペっぽいデザインを採用した。
 GT系とは少し異なり安全性に関するデバイスも抜かりない。たとえば自動再発進機能付きアクティブディスタンスアシスト・ディストロニック(高速道路では30秒以内、一般道では3秒以内なら自動発進)、車線変更アシスト、歩行者検知/飛び出し検知機能付きアクティブブレーキアシスト、自動縦列・並列駐車機能付きアクティブパーキングアシストなど最先端のセーフティ装備を持つ。価格は1650万円〜1910万円。
報告:神谷龍彦
写真:佐久間健 メルセデス・ベンツ

GT Rよりも少し快適さを重視。GT CロードスターはGT RとGTの中間にあたるモデル。

リアの車幅はGT RとGT CロードスターがGTよりもかなり広い(写真はGTロードスター)。

超高級な室内だが一体感は高い。ソフトトップの開閉スイッチはオーバーヘッドコンソールに。

4ℓV8エンジンは476ps(GT)と557ps(GT C)。GT Rは585ps。GT Cは4輪操舵機構を装備する。

空力や冷却にもフロントからの空気の流れを最大限に活用する。写真はボディ下側。

AMG E 63 S 4MATIC+ ステーションワゴンの心臓は4ℓV8だが最強の612psを発生。


最終更新日:2017/09/01