都内の、とあるプジョー・ディーラー。12月初旬、3008の事前記者会見があった。
正式発表の前に一部の媒体やジャーナリストに新車を見せたり、試乗の機会をセットする（発表前だから海外のことが多いが）のはさほど珍しくはない。しかし国内で事前にこうした発表会を敢行するケースはあまりない。
会場には、空輸してきたという白い3008（右ハンドル）が展示されていた。我々に手渡されたのはカタログとプレスレリーズ。カタログにはエンジンのスペックはあったが、ボディ寸法はない。「これじゃダメじゃん」と思ったら、プレスレリーズにそれは記載されていた。ただし参考値として──。全長4450mm、全幅1840mm、全高1630mm。ほぼ現行モデルと同じだが、全長だけは長い。でも、価格はどこにも見当たらない。それも当然だ。正式に日本に導入されるのは来春だから。
プジョーの新世代コンパクトSUV「3008」のヨーロッパデビューは今年の5月、ワールドプレミアとなったパリサロン（9月）を経て日本に初お目見えしたわけだ。これまでの公開スケジュールからすると非常に早い。新プラットフォームを採用し、室内空間やラゲッジスペースを広げた（現行＋90ℓ）。それでいて先代よりも約100kg軽い。トランスミッションは6速EAT（エフィシェント・オートマチック・トランスミッション）である。全車パドルシフトを標準装備する。
プジョーはエクステリアの新鮮さを訴える。たしかにフロントにもサイドにも光モノが目立つ。ウエストラインもやや高くなり、どちらかというと乗用車に近いエクステリアだった現行の3008に比べると、SUV色が濃い。力強さと精悍さは増した。このあたりにSUVにかけるプジョーの本気がうかがえる。
インテリアはもっと大きな変化を見せていた。アイ・コクピット（i-Cockpit）という新しいコンセプトに基づく新機軸だ。目の前に12.3インチのデジタルメーター、ここに視界に関する情報はすべて表示される。もともとフラン車のメーター周りはユニークなことが多いが、3008は単にデザインがユニークなだけでなく、表示過程もおもしろい。たとえば左右のメインメーターが身を捩るように出現してくる。ただ、タコメーターの針が相変わらずスピードとは別回り（左回転）になっているのには違和感を抱いた。
ダッシュボード中央上部にはタッチ式のディスプレイ。「あまりデジタル化が進むのもなあ」と思っていたら、下にはピアノの鍵盤のようなトグルスイッチが並んでいた。これってダイレクトにこちらの要望をクルマに伝えるには便利なのだ。ステアリングホイールは下も上もフラットな小径タイプである。
エンジンは2タイプ。まず、プジョーお得意の、またRJCのテクノロジーオブザイヤーの６ BESTに輝いたBlueHDi２ℓターボディーゼル（133kW=180ps）。ガソリンは1.6ℓターボ（121kW＝165ps）だ。乗っていないから確かなことは言えないが、おそらくどちらのエンジンもスムーズなはずだ。駆動方式はFFだけ。車重に影響する4WDを避けてトラクションコントロールをベースにオフロード走破性を確保したという。
さほど長い時間ではなかったが、それなりに3008にじっくり触れることができた。現在、3008は“地方公演中”である。近いところではプジョー仙台で12月24、25日。その後、宇都宮や前橋、柏など。あとはご自分の目で直接お確かめください。
報告：神谷龍彦
撮影：佐久間健
SUVらしくフロントやサイドの“光”が増した。ルーフのパノラミックガラスはオープンにできる。
リアビューも力強い。バンパースカートやホイールアーチも大きくなった。SUVとしての存在感十分だ。
実際に見たインテリアの印象はこの写真以上に斬新だった。SUV的といえるかどうかは分からないが。
いろいろな要素が組み込まれたメーター。タコやスピード計が身を捩りながら出現してくる。
エンジンは2ℓターボディーゼル（133kW）と1.6ℓターボガソリン（121kW）。変速機は6速AT。
