30車種141モデル──日本で売られているメルセデス・ベンツ車はいつの間にかこんなに多くなった。Cクラスだけを見てもセダン、クーペ、ステーションワゴン、SUVのGLCも入れると4つ、これに9月28日に加わったカブリオレを数えると5種類にもなる。
2014年に登場したこの4代目Cクラスは4万台以上売れた。メルセデスにとっては中核モデルである。先代に比べると、全長が95㎜、全幅が40㎜、ホイールベースが80㎜伸びて一回り大きくなったが、Cクラス人気は衰えない。
このカブリオレ、ソフトトップのカラーはレッド、ブルー、ブラックの3種類。選べる色は、ボディカラーによっては一部制限がある。ソフトトップの開閉はセンターコンソールのスイッチで行う。開閉に要する時間は約20秒(体感的にはけっこう速い)、しかも時速50km以下なら走行中でも作動する。コレ何でもないようだが、初代SLではTV撮影中、開けたトップを走行中に閉めようとしてもできなかったことを思い出した。
オープン走行というと春から夏がいいと思っている人が多いかもしれない。でもベストシーズンは空気のクリアな秋から冬だ。寒さ用の機構としてはエアスカーフがある。ヘッドレストのエアアウトレットから温風を吹き出して首回りを温める。高さや角度、風量も変えられる。さらに、オープン時にハンドルを握るドライバーの手を温めるクライメットコントロールもある。
フルシーズンオープン走行対策としてはエアキャップ。これはフロントウインドウ上部のディフレクター(センターコンソールにスイッチ)で空気を上に跳ねあげると同時に後席後ろの電動ドラフトストップで空気の巻き込みを低減する。
エンジンは4種類。156馬力の1.6リッター(C180カブリオレ スポーツ)、245馬力の2.0リッター(C 300 カブリオレ スポーツ=受注生産)、367馬力の3リッターV6(AMG C43 4MATIC カブリオレ)、510馬力の4リッターV8(AMG C63S カブリオレ)である。すべてターボだが、AMGはツインになる。燃費はC 180が14.3km/ℓ、C63は8.9km/ℓ。C63のエンジンはGTと同じだ。ちなみにC63の0─100km/h加速は4.1秒。それだけに価格も1403万円と群を抜く。一方、C 180は606万円である。
メルセデス車は「インテリジェントドライブ」という先進の安全機能を備えている。
Cクラス カブリオレの場合は、先行車との距離を維持しつつアクセルとブレーキを自動でコントロール、車線のカーブと先行車を認識してステアリング操作をアシストし(ステアリングアシスト付きディストロニック・プラス)、前輪が車線を越えた場合はステアリングを微振動させて警告し最終的には自動補正ブレーキによって車線に戻そうとする(アクティブレーンキーピングアシスト)などの補助機能を備えている。レーダーやカメラを使った半自動運転である。スポーツ性もさることながら、快適性や安全性もクルマ選びのますます大きなポイントになってきた。
報告:神谷龍彦
写真:メルセデス・ベンツ 神谷龍彦
メルセデスの最新デザイン哲学「モダンラグジュアリー」に則ってフロントはロングノーズとショートオーバーハング。オープン時はもちろん、ソフトトップを閉じた状態でもスタイリッシュである。
ソフトトップの色はブルー、ブラック、ダークレッドの3色。外装色は6色だが、色によっては選べないトップカラーもある。開閉は電動式で所要時間は約20秒。50km/h以下なら走行中でも開閉できる。
セダンの開発初期からカブリオレとしてのボディ剛性の確保も考慮された。ボディシェルはフロア周辺やルーフ周りは専用設計。さらに、アルミニウムハイブリッドボディシェルにより軽量化と高剛性を両立。
エンジンは直4の1.6(180)、2.0(300)と3ℓV6(AMG C 43)と4ℓV8(AMG C 63 S)だ。すべて直噴でターボ(AMGはツイン)である。トランスミッションは9速ATが中心。ただ、C63 Sのみは7速MCT。
インテリアは基本的に他のCクラスと変わらない。このモデルに限らないが、メルセデスの質感は再びトップレベルになった。室内への風の巻き込み防止策も抜かりない。
リアシートはあるにはあるがこんな具合。シートバックは分割可倒式だから長いものも入れられる。ソフトトップは遮音性と耐候性に優れ、クローズ時にはクーペ並の快適さを提供すると説明された。