PSAの新ディーゼルシリーズ、まとめて9台発表

 最近はドイツメーカーのディーゼル攻勢が目立つ。でも、ヨーロッパ諸国ではディーゼルエンジンは昔から市民権を得ていた。たとえば、PSA(現在では、プジョーとシトロエン、そしてDSに分かれている)、プジョーは1922年に、シトロエンは1933年にディーゼルを開発したという。日本メーカーとはキャリアが違う。シトロエンCXのディーゼルモデルが1979年に日本に輸入されたこともある。
 が、大勢としては、日本では長い間、ディーゼル=黒煙=汚いというイメージが抜けず、トラックは別として、乗用車のディーゼルは暗黒時代が続いた。黒煙はディーゼルエンジンの責任というより軽油の質の問題の方が大きかったのに、だ
 ヨーロッパでディーゼルが重用されたのは、燃費はもちろん、そのベースにCO2に対する関心が強かったからだ。が、ここにきて日本でもディーゼルが正当な評価を得るようになった。単なる風潮の変化だけでなく、技術的な進歩もそれを大きく支えた。
 という背景を見て、PSAグループは7月12日、ディーゼル車の日本導入に舵を切った。同グループのディーゼルエンジンは「BlueHDi」と呼ばれる。これからはディーゼルはクリーンエンジンの代名詞になるだろう。

お楽しみはこれからも……

 ターボを装着するBlueHDiの排気量は1.6リッター(SOHC・120ps)と2リッター(DOHC・180ps)。搭載モデルは、プジョーが308と508、シトロエンがC4、DSがDS4とDS4クロスバックだ。グレードの違いを含めると計9モデルになる。
 注目すべきはパワーよりもトルクで、1.6リッターの300Nmはガソリンに比べて30%、2リッターのそれは(400Nm)ガソリン比で67%も多い。しかもその発生回転数が圧倒的に低いから、運転はしやすいはずだ。ただ、音振については試乗してみないと何とも言えない。もっとも、これまで試乗したディーゼル車はおおむね想像以上に力があって、音振も改善されていた。ということで、期待は大きい。
 PSAのクリーンシステムは、酸化触媒、SCR(Selective Catalytic Reduction=選択還元触媒)、DPF(Diesel Particulate Filter=微粒子フィルター) で、順番にHC&CO、NOx、微粒子(スス)をほぼ100%取り除く。SCR内には尿素が噴射され窒素酸化物を窒素と水に分解するが、PSAではそのタンクをトランクルーム下に置き、ラゲッジルームの確保を目指した。
 トランスミッションはアイシンAWとの共同開発によるEAT6で、ガソリン用よりもハイギアードに設定し(同一速度でのエンジン回転が下がる)、かつロックアップ領域を拡大している。
 今回発表されたディーゼルモデルは、プジョーが308と308 SWの1.6リッター(299/323.8万円)、2リッターの308 GTと308 GT SW(354/378.8万円)、そして508 GTと308 SW GT(434/464万円)。シトロエンは1.6リッターのC4(279万円)、DSはDS4とDSクロスバック(349/361万円)だ。
 この話にはまだ続きがあって、発表日に今後のニューモデルの発表予定が公表された。それによると、この12月にはDS5と、C4ピカソとグランドC4ピカソ(この2台は150psの2リッターターボディーゼル)が、そして来年1月には180psエンジンを搭載する3008GTと新型車のGTが発売されるという。お楽しみはまだまだ続く。

報告:神谷龍彦
画像:佐久間健/PSAグループ

今回発売されるモデルも近未来発売予定のモデルも含めて一挙に発表。プレゼンしたのはすべて欧州の人。

ディーゼルエンジンは2.0リッターと1.6リッターの二本立て。写真は2リッターのDS4シックBlueHDi。

180馬力の2.0リッターディーゼルを搭載する508GT。どのモデルもエクステリアの変更は基本的にない。

ご自慢のディーゼルエンジン。日本に導入された2.0は180馬力だが、12月には150馬力版も追加される。

アイシンAWと開発した新6速EAT(Efficient Automatic Transmission)。走りにも燃費にも貢献する。

この12月に導入予定のピカソの看板。エンジンは150馬力の2.0リッター4気筒ディーゼルターボだ。


最終更新日:2016/07/21