【新車&NEWS】ボルボのC40プロト、日本初お目見え。
4年後には35%、9年後には100%がEVに

 ボルボは宣言の好きなメーカーである。そしてその宣言はほぼ100パーセント守られている。よく言えば、先見の明と自信の表れかもしれない。3月4日、ボルボの次期C40リチャージ(完全EV)のデザインプロトが、東京・青山の同社スタジオでプレスに公開された。EV専用として最初から設計された初めてのモデルである。

ワールドマーケットでは2035年にEV50%

 ボルボは昨年からXC40リチャージを欧州などで販売している。ただこのモデル、現時点では日本未導である。だから日本で公開されるボルボの最初のEVの栄誉は、この秋の発表と思われるC40リチャージの上に輝きそうだ。XC40リチャージの発表はおそらくそのあとになるだろう。
 「ボルボ・カー・ジャパンは2025年のEV販売比率を35%(9000台弱)にします。さらに2030年には100%を目指します」とマーティン・パーソン社長は威勢がいい。3月2日にスウェーデン本社で発表されたボルボ全体としての計画はさらに過激で2025年の全世界でのEV比率を一挙に50%に持ってゆくという。2030年はもちろん100%EVメーカーに。スピードと緊張感をもって、生き残りをかけた選択と集中である。
 プラットフォームはXC40リチャージなどにも使われているC MA(Compact Modular Architecture)を流用する。駆動方式はAWD(4輪駆動)のみ。前後にひとつずつ計2個の電気モーターを活用する。
 バッテリーは、蓄電容量が78kWh。1回の充電での航続距離は最大で約420km(WLTPモード)だという。最高出力は408馬力。0−100km/h加速は4.9秒と発表された。急速チャージャーを利用すれば、バッテリーの8割の容量を約40分で充電できる。無線ソフトウェアの更新によって、EVパワートレインのアップグレードできる予定だ。

XC40よりも75mmも低いクーペスタイル

 C40リチャージのボディタイプはこれまでの「S」「V」「XC」ではなく、クロスオーバータイプのSUVとされる。ボディの3サイズは4431×1850×1585mm。ここで注目したいのは長さや幅ではなく高さだ。C40に比べると75mmも低い。クロスオーバーと呼ぶ所以か。ルーフラインは穏やかに傾斜し、なだらかなリアエンドに続く。サイドから見れば、今流行りのクーペタイプのSUVだということがはっきりわかる。
 C40リチャージのフロントデザインは、EVボルボの新しい顔となる。基本的にXC40リチャージと共通で若干のっぺりしている。エンジンはないからフロントから空気を取り入れる必要はない。ボルボマークはこれまでのそれの延長線上にあるが、いわゆるグリルはない。

最初の100台には特別な購入プランを用意

 グーグル(Google)と共同開発され、Androidオペレーティングシステムをベースとしたインフォテインメントシステムが標準装備されるという。「Googleマップ」、「Googleアシスタント」など、車載Googleアプリとサービスが使えるのだ。
 今後導入するEVモデルの販売はオンラインのみになる。それじゃあディーラーのやることがなくなるのではないかと聞くと、「大丈夫。サービス提供や納車や試乗はオンラインではできませんからね」という答えが返ってきた。
 この秋に日本に導入される100台のC40リチャージには新しいサブスクリプションプランが用意されるという。
 「3か月経てば解約自由という、お客さまにとって魅力的なパッケージを用意します。多様化するお客さまにより分かりやすく、選びやすく、購入しやすい、無駄な時間や手間を省くサービスを提供します」とボルボは自信をのぞかせた。
 製造を担当するのはベルギー・ゲントのボルボ・カーズ工場。XC40リチャージもここで作られるし、一時は三菱車の製造を担当していたこともある。EVに少々前のめりな感もあるこのところのヨーロッパメーカー、その適否は数年先に明らかになるだろう。

報告:神谷龍彦
写真:佐久間健 ボルボ・カー

何よりも低い全高が特徴。XC40に比べて約75mmも少ない。クーペタイプのSUVだ。

この角度だとクーペスタイルであることがよくわかると思う。XC40とは別物である。

グリルは消えたが多数のLEDで構成されるピクセル式トールハンマーデザインは健在。

リアのデザインはXC40とは異なり、低く流麗である。後席の居住性がやや気にかかる。

この日はインテリアは見られなかったがこんな具合らしい。本革は使っていない。

ここにあるようにツインモーターである。408馬力、0-100km/h加速4.9秒は圧巻。


最終更新日:2021/03/08