エクステリアは1967年デビューのN360の「丸・四角・台形」デザインを継承、インテリアは必要なもの以外を削ぎ落すM・M思想から生まれた(これもN360の継承だとホンダは言う)。
ちなみにM・Mとは「マン・マキシム/メカ・ミニマムという考え方、つまりメカニズムの空間は最小に抑えて人間の空間は最大にしようということだ。もうひとつ余談を。N360は「Nっころ」とも呼ばれたが、この「N」の語源をご存じだろうか。これはNorimonoのNだと聞いたような記憶がある。
さて、現在4車種あるホンダのNシリーズの販売は相変わらず好調で、その中心となるN-BOX(2011年デビュー)は新車販売3年連続トップ、今年の1〜6月も首位を守っている。N-BOXも12月24日のクリスマスイブにマイナーチェンジされる予定。2017年のフルモデルチェンジ以来のことである。
一方、N-ONEの方はどうかというと、デビューの翌年こそ10万台以上売れて話題になったが、その後はジリ貧であまり芳しくはない。その最大の理由はN-ONEが歳をとってしまったことと新たなるホンダ内のカニバリズムの発生だろう。『N』のライバルはNなのである。
N-ONEの登場は2012年だから、8年ぶりのフルモデルチェンジになる。過去の栄光を取り戻すべく起死回生を期す。そのポイントは、内外のデザインのほか、燃料タンクを前席の下に収めた「センタータンクレイアウト」、加えてRSという6速マニュアルのスポーティモデルを設定したことなどだ。
価格はアップしたがそれ以上の中身
前席はセパレートシートを採用し、運転しやすい座り心地と上質な触り心地を追求したと言う。また、大人がゆったりと座れる助手席空間も特筆ものだ。前述のように余計な(?)ものをインパネから一掃したおかげでパッセンジャーシートの前に広い空間ができた。
グレードは、クルマの本質を見つめてN-ONEらしさを磨き上げたOriginal、外観も室内も質感を徹底的に追求したPremium/ Premium Tourer、走りの楽しさを求める人のために創りこまれたRS。RSでは軽自動車初の FFターボ と 6MTのコンビネーションに挑戦した。このマニュアルミッションは、小気味いいフィールのS660と同様、1から5速がクロスレシオ、6速は約3000rpmで100km/h走行ができるようセッティングされている。
エンジンは他の軽自動車と同じで自然吸気(43kW/7300rpm)とターボ(47kW/6000rpm)。RSとプレミアム・ツアラーがターボになる。
Honda SENSINGを全モデルに標準装備
安全運転支援システムも抜かりない。後方誤発進抑制機能とオートハイビームは一部グレードになるが、他はHonda SENSINGを全車標準装備する。各技術は以下の10種類。
(1)衝突軽減ブレーキ<CMBS>
(2)誤発進抑制機能
(3)歩行者事故低減ステアリング
(4)先行車発進お知らせ機能
(5)標識認識機能
(6)路外逸脱抑制機能
(7)渋滞追従機能付ACC<アダプティブ・クルーズ・コントロール>
(8)LKAS<車線維持支援システム>
(9)後方誤発進抑制機能
(10)オートハイビーム
※誤発進抑制機能、渋滞追従機能、後方誤発進抑制機能はCVTのみ、つまりRS以外はすべてこれらが標準装備される。
また、安心を高める主な機能として以下の2種類がある。
(1)パーキングセンサーシステム。リアバンパーに搭載した4つのソナーセンサーでクルマ後方の障害物の接近を検知し、アラーム音とメーターディスプレー表示でドライバーに知らせる。
(2)オートブレーキホールド機能。スイッチを押してシステムを作動させると、坂道や信号待ちなどで停止した際、ドライバーがブレーキペダルから足を離しても停車状態を保持する。アクセルペダルを踏み込むことでブレーキを自動解除し再発進できる。
税込価格は1、59万9400円(オリジナル FF)〜202万2900円(プレミアム・ツアラー4WD)。先代に比べると少々プライスアップだ。見た目の変化は少ないが中身は大きく進化している。販売計画台数月に2000台。
写真:本田技研工業
「N-ONEらしさをさらに磨き上げた」Original。Premiumとともにエンジンは43kW/65Nmの自然吸気のみ。
横のラインを強調したリアの造形。LEDランプが凝っていて、ターン、ウインカー、バックを色分けて表現する。
ハニカムメッシュのグリル、テールゲートスポイラー、ブラックサイドシール、RSエンブレムなどでRSを主張。
運転の楽しさとくつろぎがテーマ。陽光も意識した上向きレイアウト。水平ラインもすっきりわかりやすい。
RSのメーター。プレミアムとRSはブラック、Originalはホワイト。NAとターボで最高出力発生回転数も異なる。
12月にマイチェンされるN-BOX。ボディはノーマルとカスタム(手前)の2種類。また新しい伝説を創るだろうか。
N-BOXはインパネも当然のようにグレードアップされている。こちらも運転の楽しさとくつろぎが得られそうだ。