自然吸気からターボへ、出力アップ。新技術もしっかり吸収。
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ポルシェ911──1963年のフランクフルトショーでデビューして以来基本的なスタイルのイメージはほとんど変わっていない。細かい改良は数限りないが、ハード面での大きな変更は1997年に空冷から水冷式に変更したエンジンと、トランスミッションくらいだ。2011年に登場した7代目(タイプ991)も全長こそ少し伸びたもののイメージ的には従来の延長線上にある。
この7代目、2月23日に初のマイナーチェンジを受けた。やはり外観上の変更はほとんどない。寸法的にも変わらない。デザインではヘッドライトが4灯式になり、ドアハンドルの形が変わった。注意深い人なら、リアのエンジンフードのスリットがこれまでの横から縦になったことにも気づくだろう。
ところが、今回の大きなポイントはこのフードに隠れているエンジンにある。これまでカレラ=ノンターボという文法をあっさり捨ててターボを採用した。排気量は3リッター。ダウンサイジングならぬライトサイジングだ。
パワーはカレラが370馬力、カレラSが420馬力。ともに先代モデル比で20馬力のアップである。これまでカレラとカレラSの出力差はエンジン排気量で付けていたが、今回はターボやエグゾーストシステム、それにマネージメントのチューニングで実現した。燃費も約14%向上している。
トランスミッションは、カブリオレが7速PDK(ポルシェ・ドッペルクップルング=2クラッチ・セミAT)、クーペが7速MTと7速PDK。このエンジンとトランスミッションの組み合わせで、0-100km/h加速はクーペで4.2秒、クーペSは3.9秒(ともにスポーツクロノパッケージ装着車)。両モデルともに先代よりも0.2秒速い。
カレラSはオプションで後輪のアクティブ・ステアリングが選べる。この結果、高速での車線変更時の安定性の向上とともに最小回転半径が0.5m短くなった。市街地での取り回しには有効だ。また、これもオプションだが、フロント・リフティング・システムも設定される。ボタンを押せば5秒以内に車高を40㎜アップできる。
また、ポルシェ・コミュニケーション・マネージメントシステム(PCM)が標準装備された。これには7インチのディスプレイが付き、ナビゲーションモジュールとボイスコントロール機能を備える。手書き入力やApple CarPlay(iPhone接続)にも対応する。
スポーツカーの代名詞・ポルシェも時代にしっかり寄り添っている。このあたりもポルシェ人気の秘密なのかもしれない。価格は1244万円から1813万円。デリバリーは3月下旬からの予定。
写真:写真:佐久間 健