アウディA4 8年ぶりのフルチェンジ。先端装備満載で時代に挑む

日本でのアウディ購入動機で一番多いのが「デザイン」だと言う。フロントのシングルフレーム・アウディも多く見かける。

室内デザインは大きく変わった。新型を見てしまうと先代のインパネが少々野暮ったく見えてくる。全体に優しい印象だ。

リアのデザインはフロントに比べると先代と似ている。トランクリッド後端はスポイラー形状。比較的すっきりしている。


すべての面において広くなった室内。シートのデザインも見直した。

エンジンは4気筒2リッターターボ。いたずらに排気量を減らすのではなく、燃費とパワーを考えてこの排気量を選んだと言う。

右上がバーチャルコックピットの映像。ここにナビを始め非常の多くの情報が表示される。おじさんは慣れるまで時間がかかる。


※画像クリックで拡大表示します。

 アウディ80としてデビューしたのは1972年、80からA4にネーミングが変わったのは1994年。80から数えて9代目、A4としては5代目にあたるニュー・アウディA4が、2月8日に日本にデビューした。これまでのアウディと異なり、ほとんどの部品がこの新Dセグメントカーのために新しくなった。ボディはもちろん、プラットフォームもサスペンションもトランスミッションも、だ。

FFは大幅に燃費向上、クワトロはパワーアップ

 ボディはセダンのみ、エンジンは2リッター直4ターボだけだが、駆動方式は先代同様、FF(前輪駆動)とクワトロ(4輪駆動)の2タイプ。最高出力はFFが190ps、クワトロが252ps、0-100km/h加速はそれぞれ7.3秒と5.8秒。かなり速い。JC08モード燃費はFFが18.4㎞/ℓ(先代比+33%)、クワトロが15.5㎞/ℓ(先代比+14%)。エンジンの開発コンセプトは、これまでのダウンサイジングからライトサイジングへ──つまり排気量減らし一辺倒ではなく、排気量を多少増やして燃費向上を図りつつ必要な時には十分なパワー得ようというものだ。トランスミッションは両タイプとも7速Sトロニックになった。 ボディは全長と全幅が15㎜伸び、全高は逆に10㎜減った。ワイド&ロー化もさることながら、最近ではあまり話題にならなくなったCd(空気抵抗係数)が凄い。0.23! 旧A4の0.26も立派だったが、この数値には度肝を抜かされる。もっともこれはアウディにしてみれば驚くに値しないのかもしれない。初めてCd値で0.3を切ったのも同社だったのだから……。もちろん技術者の趣味でCd値を追っているわけではない。燃費と静粛性に大きくかかわるからだ。そのためにサイドミラーの形状やアンダーボディの処理に相当の時間が費やされたと言う。

車内ゆったり。インテリアもさらに高級感増す

 室内も広くなった。数値で表せば、ショルダー部の幅が11㎜、前席ヘッドクリアランスが24㎜、リアレッグルームが23㎜、室内長が17㎜、それぞれ拡げられている。実際には数値以上の広々感がある。この室内に組み合わされるダッシュボードは低めに設定された。これまではややドライバーに向いたデザインだったインパは水平基調に、スイッチ類のタッチも柔らかくなり、全体的に洗練された。比較的趣味のいい個室から高級マンションの一室に変わったと言ってもいい。それくらい違う。TTで話題になったバーチャルコックピットはマトリックスLEDヘッドライトパッケージとセットオプションになる。
 いまや安全性の確保とともに自動運転への挑戦は世界の一流メーカーの避けては通れそうない課題だ。アウディA4も新たな成果を積み込んでいる。それが「プレセンスシティ」と呼ばれるシステムだ。これは、85㎞/h以下で走行中に他の車両や歩行者との接触の可能性がある時には警告・減速・停車するシステム。また、交差点で右折する際、対向車と衝突する危険のある時は自動ブレーキをかける機能(2〜10㎞/hで作動)もある。これは「ターンアシスト」と呼ばれる。ともに似たような(ボルボXC90のインターセクション・サポートなど)システムがないわけではない。しかし、A4にも搭載されているパークアシストやレーンキープ機能など、近い将来の自動運転に通じるデバイスは今後さらに重要かつ競争の激しい分野になるだろう。
 それはそれとして、A4、ぜひ試乗してみたいモデルの1台である。

報告:神谷龍彦
写真:怒谷彰久/アウディ

 


最終更新日:2016/02/10