F1カー「C38」をセンターに、その左右にひとつずつクルマに被せた赤いテキスタイルが並ぶ。ほぼ予定通りの時間にアンベール! そこから現れたのは,向かって右が「ステルヴィオ クアドリフォリオ(Stelvio Quadrifoglio)」、左が」「ジュリア クアドリフォリオ(Giulia Quadrifoglio)」だ。前者がプレミアムスポーツ、後者がプレミアムSUV、ともに限定車である。
このプレゼンテーションの進行は清水良子広報部長とティツィアナ・アランプレセ・マーケティング部長が務めた。少し前までは、古くからの知人であるポンタス・ヘグストロムFCAジャパン社長が務めることが多かったが、最近はこの二人の女性が担当することが増えた。それだけ広報体制が整ったということか。
2台はF1 トリビュート(賞賛とか感謝)と呼ばれる。幾多の紆余曲折を経て今シーズンからアルファロメオ・レーシングはF1に正式に復帰した。ドライバーはキミ・ライコネンとアントニオ・ジョヴィナッティだ。F1復活を記念してデビューさせたのがこの2台である。
専用設計されたエアロパーツは、フロントエアスプリッター、大型のサイドスカート、これも大型のリアスポイラーで構成され、高速走行時に優れたエアロ効果を発揮する。さらに、カーボン製のV時型グリルやクロスブラックのフロントグリル、デュフーザー、カーボンエクステリアミラーハウジング、エクステリアラッピングなどの専用アイテムも備える。これらのパーツはザウバーエンジニアリングとの共同開発による。
最高出力は高出力化によってベースモデルより10ps増えて520psに。パワーアップだけでなく、アクラポヴィッチ(Akrapovic)社製のエキゾーストシステムによりエキゾーストサウンドもさらに官能的になったという。ブレーキ性能もカーボンセラミックブレーキシステムを搭載し強化した。
両方合わせて10台の限定車。306万円アップ。11月から販売
インテリアも十分にレーシーだ。カーボンインサート付のレザー/アルカンターラステアリングをはじめ、スパルコ社製のカーボンバケットシート、レッドシートベルトなどを装備。この専用シートは軽量化も図られ、ブレーキシステム、エキゾーストシステムと併せ、車両全体で27kg 以上の軽量化を実現しているという。
限定販売台数はギョッとするほど少ない。価格も、まあ当然だが決して安くはない。ジュリア クアドリフォリオ F1 トリビュートが限定6台で車両価格1459万円、ステルヴィオ クアドリフォリオ F1 トリビュートが限定4台で車両価格1495万円(いずれも消費税10%込み)。ハンドル位置は両車とも左である。
ちなみに、ジュリア クアドリフォリオは車両価格が1153万円、ステルヴィオ クアドリフォリオが1189万円。ベースモデルに比べると306万円のアップだ。発売は11月からになる。
報告:神谷龍彦
写真:アルファロメオ 神谷龍彦
赤いベールの中から姿を現した・ステルヴィオ・クアドリフォリオ・F1トリビュート。
ジュリアの方はフロントエアスプリッターなどの形状が特徴的。レッド、ホワイトのアルファカラー。
手前がジュリア。一番奥がステルヴィオ。その間にF1。解説をしているのが清水良子広報部長。
2006年にスーパーアグリからF1に参戦していた井出有治氏(写真左)もトークショーを担当。
ジュリアF1トリビュートの後姿。スカート部がノーマルとは大きく違う。ステルヴィオには派手なルーフウイングも付く。
ペダル類などもベース車とは異なる。元F1レーサーの井出氏によると最高出力は「800ps以上らしい」とか。
過去レース界の名門でもあったアルファレーシングのF1復活。鈴鹿GPでは2台とも完走。順位はイマイチだったがそのあたりは来期以降に期待か。コンペティションの参加者は多い方が楽しい。