ビー・エム・ダブリュー 1 シリーズ
BMW1 シリーズ

コレはちょっとした事件です!

 FR(後輪駆動)からFWD(前輪駆動)になった──フツーならさほど驚くには値しないが、このメーカーの場合はニュースになる。BMW1シリーズは3代目でそれまでこだわってきたFRにあっさり見切りをつけた。その理由は、FWDでもFR並みの操縦性を確保でき、居住性も増すからだという。
 それを支えるのがARB(アクチュエーター・コンティギュアス・ホイールスリップ・リミテーション)だ。言うまでもなく1代目(2004年)、2代目(2011年)はFRである。1シリーズはよく売れた。初代と2代目合わせてグローバルで約250万台、その4%(10万台)は日本である。

FWDでもFRのような操舵感──ARBが実現した

 ARBはタイヤスリップ・コントロール・システムだ(日本初導入)。スリップ状況を感知すると、タイヤからエンジンコントロールユニットに直接信号が伝達される。これは従来のシステムよりも3倍速く、ドライバーは通常の10倍速くスリップのコントロールを認識することができるという。FWD車特有のアンダーステアを大幅に抑制し、俊敏な走りを実現する。
 「前輪駆動でありながら、後輪駆動と同等のフィーリングを体験できます。安全装備も充実しました。日本では初めて輸入車と接点を持つ人、もともと女性には好評でしたが、それをさらに増やしてゆきたいですね。」とプレゼンテーションを担当したブランドマネッジメントのトップ、ミカエル・キニガー本部長は語る。前輪駆動車特有のアンダーステア(おお、懐かしい言葉!)も出ないらしい。
 ついでに付け加えれば彼女はドイツ人ではなくオーストリア人だそうである。来日は2010年でマーケティングのヘッドとしてミニの販売増にも貢献した。

さらに安全に。リバース・アシストはけっこう便利かも

 FWD1シリーズのボディは5ドアのみ。サイズは全長×全幅×全高=4355×1800×1465mm、ホイールベースは2670mm。先代モデル比だと全長−5mm、全幅+35mm、全高+25mm、ホイールベースは20mm短い。室内スペースは、FWD用のプラットフォームの採用によって広くなった。たとえば後席足元は40mmも増えている。荷室の容量は+20リッターの380リッター、後席背もたれを倒せば最大1200リッターまで拡大できる。
 ほかの新世代のBMW車と同様にシングルフレームデザインのキドニーグリルを備え、テールはL字型をモチーフとしたランプで幅広感を演出する。横から眺めると、FRの従来型に比べてキャビンが前進していることが見た眼にも分かる。
 日本に導入されるのは、ベーシックな「118i」の3モデルと、ハイパフォーマンスグレード「M135i xDrive」の計4モデル。118iは最高出力103kW(140ps)の1.5リッター直3ターボエンジンを搭載するFWD車、M135i xDriveは、225kW(306ps)の2リッター直4ツインターボを搭載する4WD車である。トランスミッションは、118iが7段DCT、M135iが8段ATだ。
 インテリアも新世代BMWに沿う。118iは5.1インチ液晶メーターパネルとコンソール上部の8.8インチディスプレイが標準装備されているが、これらはM351iの「BMWライブ・コックピット」に変更できる(オプション)。運転支援機能としては、レーン・チェンジ・ウォーニング、後部衝突警告機能、クロストラフィックウオーニング(リア)、スピードリミット情報表示機能を追加したドライビングアシストが118iを除く全グレードに標準装備されている。
 さらに「リバース・アシスト」機能が全車に標準装備された。これは、35km/h以下の速度で前進しそれ以上進めなくなったような場合、直近50mの軌跡を記憶し、その軌跡通りに後退しステアリング操作も自動で行う機能だ。日産にも似たような機能があるが、あちらはアラウンドビューモニターが表示されるだけだから我々のものとは違うと言う。いずれにしてもほとんどのモデルに多くのっ先進技術が標準装備されている。ここが1シリーズのミソ。
 キニガー本部長は「リバース・アシストはBMW特有のもので、ライバルにはこのような機能はありません」と強調した。
1シリーズの価格(消費税10%を含む)は以下の通り。納車は2019年11月以降とされる。118i:334万円 118i Play:375万円 118i Mスポーツ:413万円 M135ixDrive:630万円

報告:神谷龍彦
写真:佐久間健

プレゼンテーションを担当したミカエル・キニガー本部長と1シリーズ。まあ、記念撮影ってヤツです。最近のBMWはどうも「THE 〇」というネーミング方法がお気に入りらしい。

大きくなって中央部が連結した新世代デザインのキドニーグリル。118系は縦ストライプグリル、M135系はメッシュグリル。これがフロントビュー大きな違い。ヘッドライトは4灯ヘキサゴンLED。

テールランプは新デザインのL字型。低重心シルエットと相まって印象的なアクセントになる。エキゾーストテールパイプの直径はM135ixDriveが100mm、131iが90mm。

横から見ると、FWD車らしくショートデッキなのがよく分かる。全体的には意外とすっきり。

レーン・チェンジ・ウォーニングを始め安全装備も一段と充実した。また、行き止まりなどで、自動でステアリング操作をしながら50mまでバックしてくれる「リバース・アシスト」は便利そう。

エンジンは2種類。1.5リッター3気筒(103kW)と写真の2リッター4気筒(225kW)。306psの2リッター・ツインターボエンジンはBMWの中ではもっともパワフルエンジンのひとつだ。


最終更新日:2019/09/01