スズキ・スイフト スポーツ
SUZUKI SWIFT Sport

楽しい! 安い! 国内最強&最廉価のクルマ

今や貴重なマニュアルシフト。エンジンはサウンドも含めてスポーティ。久々に興奮させる。

新プラットフォーム「ハーテクト」の採用で70kgの軽量化を実現。足回りも全面的に刷新した。

トレッドを40mm拡大。全幅は1700㎜を越えたが、最小回転半径は5.1mと先代より小さい。


エンジンのコンパクト化に成功。パワーは4ps増。低速トルクの増加はそれを大幅に上回る。

シートのホールドはいい。ブラック基調に赤を取り入れたインテリアは違和感なくまとまる。

タイヤはコンチネンタルのスポーツコンタクト195/45R17。ホイールはスポーツ専用だ。


※画像クリックで拡大表示します。

 クルマをスポーティに走らせるのが好きな層というのは、かつてほどではないにしろ確実にいる。そういう場合の悩みのタネが、手頃な価格のスポーティカーがないこと。「MTで乗りたい」となるとさらに選択肢が限られてしまう。
 そんな中、スズキは待望のスイフトスポーツを投入してきた。アルトワークスの投入でも言えることだが、スズキは実用車だけでなく、若年層の走り好きにも買える価格帯のスポーティカーを出すメーカでもある。こうした姿勢は大いに称えたい。
 エンジンは1.4ℓ直噴ターボ(103kW=140ps/5500rpm、230Nm/2500-3500rpm)で、それにクロスレシオの6速MTが組み合わされる(6速ATの設定もあり)。2ℓ以下の国産コンパクトハッチというくくりで言えば、国内で最強&最廉価のクルマと言えるだろう。
 ショックアブソーバーはモンローで固められる。ボディはワイドトレッド化により3ナンバーとなったが(3890×1735×1500mm)、大きさは気にならない。
 コクピットに収まるとシートはセミバケット、ステアリングは流行の下部が水平に切り取られた異形タイプ。正面左には大径のタコメーター、右側には260km/hまで刻まれたスピードメーターが備えられ、やる気にさせる。エンジンを始動すると、エンジンルームは静かだが、後ろの方でデュアルエキゾーストパイプから乾いた排気音が聞こえてくるのもいい。
爽やか好青年向けのスポーティモデル
 ある程度のスピードで走ると、軽さを随所に感じる。プラットフォームはスズキが現在積極採用している軽量高剛性プラットフォームの「HARTECT(ハーテクト)」で車重は970kgに収まる。それがかなり効いているのだろうと思う。その軽量ボディとハイパワーを生かし加速感は申し分なし…と言いたいところだが、ギヤ比が近いことと、レブリミットが6000回転ということで、ちょっとあわただしい部分もある。
 サスペンションに関しては、程よく固めてあるという感じだった。最初からモータースポーツ用の足を期待すると肩透かしかもしれない。そのつもりで不整地で身構えても、コツコツコツと細かい振動を拾うだけで、すぐに収まる感じ。モータースポーツで本格的に走るユーザーは専用品に交換するだろうから、ここはあまり重要視する部分ではないとも言える。もちろんノーマルで楽しむのも十分ありだろう。ただ、できれば純正でヘリカルLSDでも入っていれば、コーナーではもっと速くて楽しいはずだ。
 ステアリングフィールは、今回の速度域では切っただけ正確に曲がるというものだった。ただ、パワーステアリングのせいなのかジオメトリーのせいなのかは判断できないが、もうちょっと手ごたえがあってもいい気がした。どうもゲーム的で、タイヤが路面をとらえている感じがつかみづらいのが気になった。
 クラッチもシフトフィールも軽く、昔の「走り屋」のクルマという感覚でいくと、ちょっと肩透かしの感もある。ひとことで言えば今風の?「爽やか好青年」の方がスイフトスポーツには似合うようだ。価格は6MT仕様が183万6000円、6AT仕様が190万6200円。燃料は無鉛プレミアムとなる。
報告:飯嶋洋治
写真:怒谷彰久

最終更新:2017/10/02