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新世代ボルボの第一弾モデルとしてデビューを果たしたXC90は、7人乗りのフラッグシップSUVというコンセプトはそのままに、ボルボ流の快適性、安心感を大きく引き上げたモデルだ。そのXC90に、トップグレードとなるプラグインハイブリッドモデルT8(正式には最高級グレード名=インスクリプションがつく)が、ガソリンモデルのT5、T6に遅れてようやく日本上陸を果たした。
パワーユニットは、T6と同じ2.0ℓガソリンツインチャージャーエンジンに加えて、リアに65kWを発生するモーターを組み合わせたもので、フロント(ガソリンエンジン)、リア(モーター)を独立して駆動するAWDシステムを採用する。トータルで407ps&640Nm(欧州参考値)と高出力を誇るが、同時にJC08モード燃費を15.3km/ℓとし、また、バッテリーのみで35.4kmを走ることができるなど、パワーと環境・燃費性能をバランスしていることもトピックとする。
その走りは、XC90が手に入れたボルボ史上最高の快適性に、さらなるゆとりという安心感を加えたもので、それはたんにラグジュアリーというよりは、フラッグシップたる雰囲気にあふれている。アクセルペダルを踏み込んでもその加速感は過激というよりは、力強さをベースにしながらスムーズさを感じさせるジェントルなもの。407ps&640Nmというパワースペックから期待されるような豪快さとは異なるかもしれないが、ドライバーを含めた乗員に快適と安心を提供するというボルボらしい仕立て方となっている。もちろん、モーターがもたらすレスポンスをトピックとしていることはいうまでもない。ただ、その俊敏さにも唐突感はないし、リア駆動に用いていることもあって、安定性がもたらす安心感を上手く引き出しているといった印象がある。
このXC90 T8に乗って強く印象に残ったのは、ラグジュアリーであることよりも、1000万円オーバーとなる価格のモデルであっても、走りはもちろん、安全性からデザインに至るまで、人を中心としたクルマ作りにこだわるボルボらしさだった。そう、今も昔もボルボらしさは変わっていない。
写真:佐久間健 イラスト:ボルボ・カー・ジャパン