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ゴーカートフィーリングと遊び心あふれるデザインをトピックとするMINIブランド。その中でスタイリッシュ+広いラゲッジルームというシューティングブレイクコンセプトをもった異端モデル、クラブマンがフルモデルチェンジを果たした。BMWグループになってからのクラブマンとしては2世代目となるこのモデルは、観音開きのリアゲートを備えたシューティングブレイクスタイルを変えることなく、新たに4枚のサイドドアが与えられ、さらにボディサイズを大きく広げている。そのサイズは、フォルクスワーゲンのゴルフとほぼ同じで、全長+5mm、全幅±0mm、全高+10mmと、わずかにクラブマンのほうが大きいに過ぎない。実は、ベースとなったのはBMW2シリーズアクティブツアラー、X1。新しいクラブマンは、3ドア、5ドアモデルよりもアッパーラインに位置づけられており、メルセデス・ベンツAクラスやゴルフが属するCセグメントハッチバックをライバルとするモデルへと変貌を遂げている。
もちろん、サイズ感だけではなく、デザインや装備などの質感も大きく高められている。インテリアはトグル式スイッチやダイヤルなどに見覚えはあるものの、室内幅がワイドになった分、センタークラスターやセンターコンソールのデザインに自由度が与えられ、さらにクオリティもアップさせている。キャビンでは乗降性を含めて、リアシートにおける快適性がすこぶる高められていることがポイントだ。まさに、5ドアモデルでもリアシートに不満があった人を満足させられるだけのスペースを備えている。
エクステリアは、ボディサイズが大きくなろうとも、MINIらしさを変えてはいない。特徴的なリアゲートはスプリットドアと呼ばれる5:5の観音開きタイプで後方にスペースがないような場所でも片側だけ開いてラゲッジルームへとアクセスできる。ちなみに、リアバンパー下に足を出すことで、自動的に開閉可能なイージーオープナー機能も用意されている。
エンジンは、3ドア、5ドアモデル同様に、クーパーに直3/1.5Lターボ(136馬力)、クーパーSに直4/2.0Lターボ(192馬力)を組み合わせる。その走りはミニらしいゴーカートフィーリングがしっかりと感じられるもの。ただし、そこに3ドアのような元気の良さは見当たらず、どちらかといえば質感を高めたという大人のフィーリングを手に入れている。乗り心地は、たとえ18インチタイヤ(40扁平)を組み合わせたクーパーSであっても、路面からの衝撃をきっちりといなした上でボディへ伝えてくるため、そこに不快感は見当たらなかった。リアシートでの乗り心地も不満はなかったし、むしろ18インチタイヤで快適性をしっかりとキープしていることに驚きを覚えた。
また、ミニとしては当たり前だが、路面にタイヤをしっかりと押し付けるというトレース性が強く感じられたことも好印象だった。エンジンはいずれにも楽しさがある。1.5Lターボは強烈なパンチはないものの、十分なトルク感によって軽快に走らせることができるし、2.0Lターボは力強いパンチを伴ったパワフルさに魅力がある。
価格はクーパーで344万円、クーパーSで384万円。そこに割高感を覚えるが、いずれも8.8インチモニタを組み合わせたナビゲーションを標準装備とし、さらにクーパーSでは8速ATやLEDランプまでを備えている。まさにちょっといいMINIが欲しい、そんなオーナーを満足させられるモデルに仕上がっている。
撮影:佐久間 健