MINIシリーズ

天井知らずの進歩。この重厚さはさすがにドイツ車

小早川 隆治



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 BMWグループが初代ミニシリーズを導入したのは2002年、コンパクトカーにとっては大きな挑戦でもあった米国市場を含む世界各国でプレミアムコンパクトという新しいポジションを確立してきた。2代目は2006年のパリサロンで導入され、以来クラブマン、コンバーチブル、カントリーマン(クロスオーバー)、クーペ、ロードスター、ペースマンとバリエーションも大幅に拡大、日本での昨年度の販売は17000台に達したという。3代目ミニは2013年の東京モーターショーが世界のショーでの初披露となったオールニューモデルだ。2014年3月にまず3ドアHBが導入され、10月初めに5ドアHB(ハッチバック)が追加されたのを機にBMWジャパンによる試乗会が青山で開かれ、3ドアHBのMINI ONE、5ドアHBのMINI COOPER、MINI COOPER Sの3車種に試乗することが出来た。

 BMWミニのデザインは50年以上も継続したオリジナルミニのDNAを引き継ぎながらも現代によくマッチしたもので、3代目となった現在の3ドアHBの外観スタイルは、初代、2代のデザイン・アイコンをキープしつつも全く古さを感じない。フロントグリルがシングルフレームとなったので見分けやすい。ただし全幅が1.7mを超えたため3ナンバーになった。今回追加された5ドアHBはホイールベースが70㎜、全長が165㎜延長されているが、デザイン上もミニらしさを損なっておらず、加えて後席居住性や荷物積載性も、ファミリーカーとして十分なレベルが確保されている。

フラットでコンフォート。再ヒットの予感

 3代目ミニの内装デザインで最も大きな変化の一つは、センターメーターが廃止されスピードメーターがドライバーの正面に移り、センターには8.8インチのセンターディスプレイが装着されたことだ。センターメーターに抵抗感のあった私にとってはウェルカムな進化だ。ただし、メーター、更には各種表示の字体をもう少し大きくしてほしいと思うのは私だけではないはずだ。ミニの独特な内装デザインには好き嫌いはあると思うが、個性的で質感の高い内装デザインがプレミアム性に貢献していることは間違いない。

 走りもまたプレミアムコンパクトにふさわしいものとなっている。走り出してまず感じるのが車体剛性の高さだ。都内の限られた走行条件下での評価だが、車体剛性に加えてマルチリンクリアサスペンションも貢献してか足がばたつかず、路面をなめるように走るフラットな走行感は大変好感がもてるもので、最後に試乗したオプションの18インチタイヤ装着のMINI COOPER Sでも乗り心地に不満はなかった。初代から追求してきた「ゴーカートフィーリング」は継承されているが、これまでのものより上質で懐の深い路面との対話が作りこまれている。

 エンジンは、MINI ONEは3気筒1.2L(リッター)、5ドアのMINI COOPERは3気筒1.5 L、MINI COOPER Sは4気筒2Lで、いずれも直噴可変ターボエンジンのため低回転から最高トルクを発揮、走りは1.2Lでも一般ユーザーにとって不足のないレベルだし、1.5 Lではかなりスポーティーな走りを楽しむことが出来る。3気筒の振動はアイドリング以外では全く気にならない。4気筒2Lを搭載したMINI COOPER Sの走りは多くのスポーティーカーが真っ青になるレベルで、加えてエンジンサウンドがいい。変速機は3ドアHBにはいずれのモデルでもMTとATの選択ができるが、5ドアHBはMINI COOPER S といえどもATのみだ。燃費に関しては、過日行ったMINI COOPER1.5 L(AT)による小田原往復ドライブでは15.9㎞/Lを記録した。

 省資源、燃費規制、NOx規制、燃料コストの高騰などの環境変化の中で、コンパクトカーへの移行は世界市場で加速しているが、単なるスモールエコノミーカーでは上級指向層のニーズを満たすことをできないことは明白で、プレミアムコンパクトの存在がこれまで以上に重要になってくることは間違いない。BMWのミニはその最先端を走りつつあると言えるもので、このたび導入された5ドアHB、新しくディーゼルが搭載されたクロスオーバーとクーペルックのペースマンなども含めて、日本市場におけるミニの販売は一層拡大されるだろう。
<撮影:佐久間 健>

<小早川 隆治> 最終更新:2014/10/21