ルノー カングー

「ルノー グランカングーの人気の秘密は、どこにある?」

カングーより130kg重くなったが、走りっぷりは悪くない。ロングホイールベースのおかげで、乗り心地はきわめて良い。

カングーより全長は420mm、ホイールベースは390mm長い。スライドドアも専用設計で、3列目にも乗り込みやすい。

ブラックバンパーとダブルバックドアは日本仕様の専用装備。ホイールはスチールでブラックのフルキャップ付き。


インパネまわりはカングーと基本的に変わらない。メーターは10インチのディスプレイ、8インチのスマホ対応ディスプレイも装備。

3列目シートはセパレートの2人掛け。スライド機構も備わるので、おとなでもフットスペースは十分に取れる。意外と快適。

ダブルバックドアはロックを外せば写真のように180度近くまで開く。床面の地上高は594mmで、重い荷物も載せやすい。


※画像クリックで拡大表示します。

 2026年1月に特別仕様車として発売された、ルノー グランカングー。諸般の事情でカタログモデルではないのだが、それが幸いしてか人気を集め、登場するたびに完売となっている。その人気の秘密を探るべく、まずは試乗してみることにした。

登場のたびに即完売となる、グランカングー

 2002年に初代が日本に導入されて以来、その可愛らしいスタイリングと使い勝手の高さで、日本では毎年「カングージャンボリー」なるオーナーズイベントが開かれるほど、コアなファン層を確立しているルノーのコンパクトMPV(マルチパーパスビークル)、「カングー(Kangoo)」。

 現行型は本国で2020年に発表され、日本では2023年に発売された3代目となる。初代/2代目よりサイズは大きくなり、デザインも可愛らしいものから凜々しいものとなったが、スライドドアに観音開きの「ダブルバックドア」をはじめ使い勝手の高さは継承され、人気は続いている。

 そして2023年のカングージャンボリーで、カングーの3列7人乗り仕様「グランカングー(Grand Kangoo)」が日本初公開され、その導入が心待ちにされていた。ただし、お披露目されたモデルのバックドアは普通の跳ね上げ式だったので、日本仕様はどうなる?とファンをヤキモキさせた。

 だが2026年、満を持して日本デビューを果たしたグランカングーは、日本のファンの要望に応えたダブルバックドアを採用していた。しかも、バンパーもブラックバンパーという、日本専用の組み合わせ。日本でグランカングーを販売するにはこの仕様で、というルノー・ジャポンの強い要望で実現したのだが、それゆえ生産は一定のロット数をまとめて、という形式になる。

 したがって、1月に第1弾として導入された「ベージュ」は特別仕様車、5月の第2弾「イエローとグリーン」は各50台の限定車、そして6月の第3弾「グレー」も50台の限定モデルとして発表されたが、いずれも短時間で完売している。日本仕様のグランカングーは、今後も特別仕様車もしくは限定車の形式で発売されるようだが、まだまだ人気は続きそうだ。

シートアレンジは1024とおり! 使い勝手はさらに高まる

 グランカングーは、2列5人乗りのカングーより全長は420mm、ホイールベースは390mm延長されている。Bピラーから前は基本的に共通だが、スライドドアは新設計され、開口幅は830mmとカングーより180mmも広い。注目すべきは全席独立式のシートで、2列目と3列目は130mmの前後スライド/折りたたみ/跳ね上げ(ダブルフォールディング)/取り外しができる。乗車人数に応じて、この機能を組み合わせれば、シートアレンジのパターンは1024とおりになるという。ただし、日本の法規上で走行時には利用できないパターンもある。

 ラゲッジルームは、7人乗車時で500L、3列目シートを取り外した5人乗車時で1340L、2列目も取り外した2人乗車なら3050Lと広大。2/3列目シートはすべてシートベルトリマインダーやISOFIXに対応するなどしっかりした作りだが、そのぶん1脚約23kgもあるので、保管する場所などを考えると日本では取り外して使う人は少ないかもしれない。

 パワートレーンは1.3L 直4ガソリンターボエンジンに7速DCTを組み合わせ、前輪を駆動する。カングーにはディーゼルターボもあったが、グランカングーは本国仕様でもガソリンのみとなる。その代わり、滑りやすい路面でのドライブをサポートするエクステンデッドグリップ機能を搭載し、ミシュランのオールシーズンタイヤも装着している。

 そのほか、スマートフォンとミラーリングが可能な8インチのマルチメディア イージーリンクや、ストップ&ゴー付きアダプティブ クルーズコントロール、そしてアクティブ エマージェンシーブレーキなど、安全&快適装備はカングー同様に充実している。

 1.3Lターボでも十分な走り。感動的なのは乗り心地の良さ

 今回の試乗車は、第一弾の「クルール(ベージュ)」。発売開始から瞬時に完売してしまったモデルだが、第2弾、第3弾もボディカラー以外はほぼ同じ。今後登場するモデルも同様のはずだから、乗った印象は基本的に変わらないと思われる。

 乗り込んだコクピットの風景も、カングーと変わらない。適度な高さのアイポイントと水平に広がったインパネは視界が良く、運転しやすい。全幅は1860mmあるから都会の狭い街中では少し気になるが、見切りは良いしパーキングセンサーも備わるから問題ないだろう。

 それでも、車両重量はカングーより130kgも重いから走りは期待できないかな…と思ったが、さにあらず。低速域からトルクフルなターボエンジンのおかげで街中での発進加速はもちろん、十分以上の走りっぷりを示す。3100mmというロングホイールベースゆえ最小回転半径は6.2mと少し大きめだが、都会の街中でも持て余すことはない。

 だがそのロングホイールベースの恩恵で直進安定性は高く、乗り心地も良い。高速クルージングはきわめて快適だ。またロングホイールベース化に伴いボディ補強もされたようで、剛性感は高い。足まわりもしなやかで、かつしっかりしている。2/3列目にも座ってみたが、どの席もヘッド&フットスペースは十分にある。

 ダブルバックドアゆえ後方視界が少し良くないとか、シートアレンジなどは日本のミニバンにかなわない部分もある。だが、カングー独特のデザインやオシャレさ、荷室の広さや乗り心地の良さなどは、日本のミニバンやMPVでは得られないものだ。

 このグランカングーだけでなく、ID.バズやリフター/ドブロ/ベルランゴなど、ラージサイズの輸入ミニバンも選択肢が増えてきた。国産でも新型エルグランドが間もなく登場するし、この市場が再び活気を呈するのは間違いなさそうだ。


■ ルノー グランカングー クルール 主要諸元

・全長×全幅×全高:4910×1860×1810mm
・ホイールベース:3100mm
・車両重量:1690kg
・エンジン:直4 DOHCターボ
・総排気量:1333cc
・最高出力:960kW(131PS)/5000rpm
・最大トルク:240Nm(24.5kgm)/1600rpm
・トランスミッション:7速DCT
・駆動方式:横置きFF
・燃料・タンク容量:プレミアム・54L
・WLTCモード燃費:14.7km/L
・タイヤサイズ:205/60R16
・発表時の車両価格(税込):459万円

(報告/写真:篠原 政明)

最終更新:2026/06/29

 

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