大幅進化した「SKYACTIV-D 2.2」エンジンの見どころ

飯塚 昭三

 発表されたマツダCX-8のディーゼルエンジンはCX-5と同じ「SKYACTIV-D 2.2」だが、実は大幅な進化をしている。静粛性を高めながら燃焼効率を上げ、出力を129kWから140kWに、トルクを420Nmから450Nmにアップしている。11kWの出力と30Nmのトルクをどのように積み増したのかを見てみよう。

新型の高応答インジェクターで燃焼を改善
 まず燃焼の改善については高応答のインジェクターの採用がある。従来のG3型もピエゾ式でマルチホール(10穴)だったが、デンソーと共同開発した新型のG4型ピエゾインジェクターは高応答で、燃料の噴射を瞬時に開始し瞬時に止めることができるのが特長。噴射終わりの切れが悪いとその燃料の燃焼の影響を受けるので次の噴射がすぐにできないが、切れがよいとすぐに次の噴射を開始できる。噴射というのは負荷や回転数で回数やタイミングなどいろいろだが、噴射の間隔を狭めることができたので、最大の噴射回数は従来の4回から5回に増やしている。ディーゼルの噴射はプレ噴射、メイン噴射、アフター噴射の3つの山が通常あるが、噴射間隔が狭まったことで、むしろ山は一つにまとまった形になったという。なお、最高噴射圧は2000気圧で変わっていないが、通常での噴射圧は高めているという。
 SKYACTIV-D 2.2は圧縮比が14.0とガソリンエンジンに近い値にまで下げたことが話題になったが、今回実は14.4とわずかながら上げている。そもそも圧縮比を下げたのは急速燃焼をさけることで燃焼温度を下げ、その結果NOxの低減や燃焼騒音の低減を図るものだ。今回は噴射の改良で微粒化が進んだことにより燃焼状態の向上が図れたので、その分熱効率向上になる圧縮比のアップをしたわけである。
 なお、ピストンはいわゆるエッグシェイプ型だが、今回からSKYACTIV-D 1.5と同じピストン上部内側に段を付けたタイプにした。燃焼初期に火炎がシリンダー壁に近いところまで行って熱損失となるのを防いでいる。
大きいほうのターボに可変ジオメトリータイプを採用
 出力の増大に貢献したのはターボチャジャーの改良だ。大小のツインターボ自体は変わらないが、大きいほうのターボを可変ジオメトリーターボ、いわゆるVGターボとしている。これにより低回転域から高回転域までつながりをよく高い過給を可能とした。
 CX-8はの燃費は17.6km/LとCX-5の18.0km/Lをわずかに下回るが、車両重量が200kgも重いことを考えれば燃費に関してはCX-5の18.0km/Lに対してCX-8は17.6km/Lと、200kgも重いことを考えれば健闘した数値といえよう。
 マツダはHCCI(予混合圧縮着火)エンジンを2019年に商品化するとしているが、これとは別に2020年には第2世代のSKYACTIV-Dを投入するという。このところ風当たりの強いディーゼルエンジンながら、マツダの取り組みには目を離せない。

(1)大幅に改良された「SKYACTIV-D 2.2」ディーゼルエンジン(2)デンソーと共同開発した高応答ピエゾインジェクター(3)ピストン頂面の内周に段を付けたピストン


最終更新日:2017/09/23