いわゆる「自動運転」について

小川 麒文

 日産セレナのプロパイロットという、完全自動運転を予感させるクルマに、今年は堪能させてもらった。しかし、このクルマはそればかりではなかった。ドアを自動開閉できるハンズフリーオートスライドドア、デュアルバックドア、キャップレス給油口、車両後方のカメラを利用したスマートルームミラーなど、とにかく新機構がいっぱい。利用する人の心を捉えるクルマ作りに感心した。注目のプロパイロットの作動も、きついコーナーではステアリングを切ってやらなければならない場面もあったが、渋滞や長距離運転にはもってこいと思った。更なる飛躍が楽しみになってきた。
 ちなみに、国によって「自動運転に関する指針」というのがあり、4つの段階が設けられている。レベル1がアクセル、ブレーキ、ステアリングのどれか一つを自動化した車。レベル2が上記3つの操作のうち、複数を自動で行う車。レベル3はそれらのすべてを自動で行うが、システムが要求したときにはドライバーが対応しなければならない。レベル4は完全自動運転車で、人は関知しない。セレナの機構はレベル2に相当するという。
 日本はいま、東京オリンピック開催年に向け、自動運転車の開発が熱を帯びている。日産は2018年には車線変更が可能な車を出す。トヨタ、ホンダも2020年を目途に計画が進む。スバルはアイサイトの進化版を2017年にも投入する予定。マツダも実験車を公開している。外国組では、ベンツがすでに車線変更を自動で行う車を発売。BMW、VW、GM、さらにテスラ社、グーグルなどが意欲的にテストを進めている。しかし、最近、テスラ社の車に乗っていた人が死亡するという事件があり、自動運転車に関してはこれから、技術的な不具合なのか、乗っていた人の責任なのか、さらにはメーカーの責任問題も含めて議論を呼ぶと思う。日本でも関連法の改正や見直しの議論が始まるだろう。ことによったら、免許制度の崩壊という事態にもなりかねない。免許がなくとも自動車を動かすことができる時代が来るのだから。
 とまれ車の自動運転化が進むことは間違いない。でも、自分のクルマ人生は、快適なガソリンエンジンの音を聞きながら終わりたいと思っている。     
報告:小川 麒文


最終更新日:2017/04/07