三丁目の夕日時代のクルマ社会模様

本間 誠二

 私が車に乗り始めたのは、昭和31年で、その頃は飲酒運転OK、銀座通り8時以降駐車OK、裏通りは常時駐車OKの時代でした。15馬力、750ccのダットサンに乗っていましたが、よく壊れました。後部座席にはガソリン、エンジンオイル、デフ・ミッションオイル、プラグ、各種コード、ファンベルト、工具箱、ダルマジャッキ等、常時装備していました。
 あるとき、エンジントラブルのため路上で修理していましたら、タクシーが止まって運転手さんが降りてきて、修理を手伝ってくれました。結局その場では修理不能と分かりましたら、タクシーの運転手さんが「後ろから押してあげるから車を自宅まで持って帰りなさい」ということになり、タクシーのフロントに座布団を取り付けて、後ろから押してくれました。2kmくらいの道程でしたが、親切なタクシーのおかげで無事に家の車庫まで帰れました。
 また、あるときは、これまたタクシーですが、故障で止まっていましたら近くまで来て止まり、運転手さんが「これはプラグ全部替えないと駄目かもしれないな!」ということになりました。たまたま予備のプラグがなかったのですが、タクシーの運転手さんが、近くの部品屋まで買いに行ってくれたのです。10分ほどで戻ってきまして、取り付けまで手伝ってくれました。無事直ったことはいうまでもありません。心温まる豊かな時代の懐かしい想い出です。


最終更新日:2011/12/25