ジープのMHEV「アベンジャー」でオフロードを試してみた



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 ステランティスのジープブランドで最小のSUV「アベンジャー」に、4輪駆動システム「4xe」を搭載したマイルドハイブリッド(MHEV)モデル「ジープ アベンジャー 4xe ハイブリッド」が登場。トップレベルの4WD専用オフロードコースを備える愛知県豊田市の「さなげアドベンチャーフィールド」で試乗会を行うという連絡を受け、現地に乗り込んだ。

JEEP流のMHEVシステムとは

 トリノのデザインセンターでデザインされたアベンジャーは、ヨーロッパ・カーオブザイヤー2023やウィメンズ・ワールドカーオブザイヤー2023“ベストファミリーSUV”を受賞するなど、BEVのコンパクトSUVとして評価が高かった。2024年9月に日本でもローンチされて話題となったが、折からのEV不調の波を受け、現状の売れ行きはまずまず。
 今回のアベンジャーは、「ラングラー4xe」などが採用した充電式PHEVシステムとは違う、新たな48Vマイルドハイブリッドシステムを組み込んだもの。搭載するエンジンは1.2L直列3気筒で、早閉じミラーサイクルによる高効率燃焼と可変容量式ターボを採用して最高出力100kw(136PS)、最大トルク230Nmを発生する。トランスミッションは6速デュアルクラッチで、その前段に15.6kW(21PS)/51Nmのモーターを内蔵し、エンジンとの間にクラッチを設けたe-DCTとしたことで、エンジンが止まっていてもEV走行が可能になっている。モーターは発進から30km/hまでのスピードを受け持ち、最長1kmほどが連続走行できるとともに、走行中にアクセルを離すとコースティング走行が可能になる。
 さらにアベンジャー4xeでは、リアアクスルに21kW(29PS)/89Nmのモーターを搭載したことで、前輪がエンジン+モーター、後輪がモーターで駆動する「e-AWD」を成立させている。ちなみにリアギアのリダクション比は22.7で、ホイールトルクに換算すると1900Nmという強力な数値を実現。後部に装備した牽引フックによって大きなラングラー級のSUV車をスタックから引き出すことを可能にしたという。
 システム総合では145PSを発揮し、最高速度は194km/h、燃費はWLTCモードで19.0km/Lというパフォーマンス。そんなフルハイブリッドに近い性能を発揮しながらも、充電装備などのない軽くシンプルな構造としたことで、燃費向上とリーズナブルな価格を実現しているの。

Jeepらしさを注入した内外装

 全長4120mm、全幅1775mm、全高1600mmというコンパクトなボディは、最低地上高がBEVより10mmアップした210mmで、最小回転半径は5.3mだ。フロント下部の形状を変更したことでアプローチアングルが約2度向上し、前後バンパーには傷に強いモールドインカラー素材を使用している。渡河性能は400mmまで。バンパー左端に刻んだ目盛りの400mm位置に、「ジープダック」アイコンをあしらって視覚化しているのはジープらしい楽しい装備だ。タイヤ&ホイールは215/60R17オールシーズンタイヤ(グッドイヤーのベクター4シーズンズ)にマットブラックカラーアルミの組み合わせ。ちなみに筆者が試乗したイエローボディの「スタイルパック」仕様は215/55R18のサマータイヤ(グッドイヤー・エフィシェントグリップ)を装着していた。
 インテリアでは、オフロード走行での耐久性と、汚れを簡単落とせる洗浄性に優れた「ウォッシャブルシート」を採用。シルバーのダッシュボードには専用の4xeロゴを配している。ラゲッジは325Lを確保し、リアシートを倒せば広い空間が出現する。

オフロードでの走りはいかに?

 さなげアドベンチャーフィールドのオフロードコースは1周約500mほどの林間コース(別のコースもある)で、途中2か所の急な下り坂と、後半のキジ谷(野生のキジが鳴くことがある)からアルペンルート(左右に大きく切り立った壁が、立山の雪山を思わせる)へと抜ける狭く急な登り坂がポイントになっている。ボタン式シフトセレクターで「D」に入れ、センターコンソールにあるセレクトテレインボタンで、「SAND/MUD」「SPORT」「AUTO」「SNOW」の中から「SAND/MUD」を選択してコースに侵入。モーターの助けもあって低速トルクがあるので、アイドリング+α程度の踏み込みでアベンジャーはスピードを乗せていく。
 最初の下り坂の手前で「ヒルディセントコントロール(急勾配下りでの自動制御)」ボタンを長押しすると機能が立ち上がり、坂の途中で「ガガガッ」とABSが働いて一定の車速をキープする。この時「シフトをNに入れてください」の表示が出ることがあリ、聞けばシフトが「D」のままより「N」にした方がより車速のコントロールの度合いが高まるとのこと。2周目はそれで走ってみた。
 またアルペンルート付近の上りでは、坂の途中で一旦停止した後に再発進を試みてみた。リアが一瞬「ザザザー」と滑るのだが、強力なリアモーターのトルクがジワリと路面に伝わる(画面上で確認できる)ことで、すぐに路面を掴んで登り始めることができた。ちなみにサマータイヤ仕様の後で、オールシーズンタイヤを装着したモデルに乗り換えてみると、ここでの再発進が(当たり前だが)より容易に行えた。クルマの左右から土手や木の枝が迫ってくる場面が多かったけれども、コンパクトなボディのおかげでそれをあまり気にせず走行できたのも、アベンジャーが持つ美点の一つだろう。
 ちなみに購入者のイメージは、男性では都内近郊の賃貸マンションに住む35歳のIT企業のUXデザイナーで、世帯年収は750万円。女性は杉並のマンションに夫と二人で暮らす32歳で、日系のメーカーで働く世帯年収1000万円、というもの。当てはまるかどうかは別として、都市生活者のアクティブな30代男女で、自由さや個性の象徴としてJeepに魅力を感じている人がターゲットだという。(了)
報告:石原彰

最終更新:2026/07/20

 

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